テンプレートに飽き飽きしている人たちへ

この物語は実に巧妙で、同じく文章に魅入られた人間に言わせてもらうと、とてもむつかしいことをしている。

物語は終始一つの空間で完結するのだ。

であるのに、物語は話を重ねるごとに奥行きを増し、果ては世界観まで見せてくる。それぞれの関係性が少しずつ変わっていき、何かをためらっていた人は、新しい一歩を踏みしめる。

それでいて、確かな語彙力とライトノベル的簡略化をなしえているのだから、むつかしいと言わざるを得ないだろう。

騙されたと思って、一度読んでみてほしい。この主題の意味がわかるはずだ。