28枚目 サトちゃんちでお勉強会

 小テストがあるということで、今日はサトちゃんの家でお勉強会。


 サトちゃんは一人暮らし。みんなでジュースとお菓子を持ち寄ってたまに集まるのです。部屋の中は綺麗に整理されていて、背の高い観葉植物がいくつかお出迎えしてくれます。壁にはレコードやサリィが飾られていて、木製のシブいスピーカーが部屋の雰囲気を大人っぽく引き締めているのです。サトちゃんのお気に入りのお香が焚かれていて、いい香り。


「サトの家はいつ来ても落ち着くな~。自分の部屋はゴチャッとしてるからな。」


「そう?女の子っぽいものが少ないからちょっと気にしているわ。」


「わたしもサトちゃんの部屋、好きだよ~!」


「なんか流さないか。サト、オススメない?」


「じゃあこれね!」


 アフロジャズを経由した濃厚なファンクサウンドから始まって、エチオジャズを思わせる曲、そして3曲目はお囃子ファンクとも言える奇妙だけれど非常にクールな楽曲が流れる。


「うお~!これはすごい!この"Reverse"って曲めちゃくちゃいいな。」


「おい、これPercee PとMEDか!?げええかっけええ!!」


「わたしはヒップホップがあまり詳しくないからわからないけれど、そうクレジットされているわね。」


「Percee Pはフリースタイルで韻を踏みながら、踏んだタイミングで鍵盤を弾くかのように指をカタカタしてカウントする身振りがかっこいいんだよ!」


「これのアルバムは誰のなんてやつ~?」


「Whitefield Brothersの2nd"Earthology"よ~。あのファンクバンド、The Poets Of Rhythmの別名義。」


「The Poets Of Rhythmなら自分も知ってる!へえなんかちょっとイメージが違うな!」


「こっちは民族音楽の要素が色濃く出ているものね。極めつけに最後の曲なんか殆どMoondogよ、この幅の広さ笑っちゃうわね。」


 そんなわけで、お菓子、ジュース、音楽と揃ったらお勉強なんか捗るはずもなく、いつもどおりワイワイガヤガヤ、楽しく踊ってしまうのでした。


☆ ☆ ☆


Whitefield Brothers - Earthology - 2009

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DIGりガールズ!~女子高生による一口サイズのディスクレビュー物語~ 柚木呂高 @yuzukiroko

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