逆境への叛逆ファンタジー。
- ★★★ Excellent!!!
「異世界は選択の連続である[Re:] ~ブラック社員、自らのチート能力に叛逆す~」は、題名どおり“選択”が物語のカギとなっています。転生先で得た圧倒的なチート能力があるにもかかわらず、元・ブラック社員である主人公には、能力を“使いこなせない苦悩”や、“使わずに生きたいという逆らい”があり、その葛藤が物語を面白くしています。
ブラック企業で働いていた経験から来る陰鬱さや、歪んだ価値観を丁寧に描いているのが特徴的。能力を持て余すことで、むしろ自由を奪われているようなジレンマを味わう主人公の姿は、ファンタジーでありながらリアルな苦悩を伴い、物語に奥行きを与えています。
さらに、“選択”を重ねるごとに彼がどのように強く、あるいは弱くなっていくのか、読んでいくほどに先を見届けたいと思わせる仕掛けが巧み。日常に疲れた読者にこそ響く、痛快でありながらも切実さを感じる異世界ファンタジーです。