最初は小さな種だった話でも、伝言ゲーム式に拡散されると大きな騒動に発展することもあるのよ。例えば、これは今から五十年ほど前にあった事件なんだけれどね。女子高生三人の噂話が発端で銀行が潰れかけたって話。

　最初は、銀行に就職が決まった女子高生とその友人たちの他愛のない会話がきっかけだった。
　二人の友人に「銀行は強盗が入ることもあるし危ないよ」とからかわれた時、彼女はその話を真に受けてしまったの。家に帰ったあと、家族に「私が就職する銀行って危ないのかな？」と聞いたそうよ。
　そしてそれを聞いた家族の人たちは「この子の就職先の銀行は『経営が』危ない」と誤って認識してしまい、さらにその話を近隣の人たちに広めてしまったの。
　街中には銀行の悪い噂が伝播していって、人々はそれを本当のことだと信じ込むようになった。
　そうして最初の日から一週間も経たないうちに、その銀行から数十億円もの預金が引き出されてしまったの。実際の経営状況は良好だったのにも関わらずね。
　おかげで銀行に勤める人たちは大混乱。デマ…続きを読む