「サイト」「庭園」「23:59」

 ハンプティ・ダンプティの導きに従ってそのウェブサイトを開くと、いつの間にか我々は月夜の庭園に降り立っていた。時刻は23:59。


「もうすぐだ、もうすぐ天使がラッパを鳴らす」

と、やや興奮ぎみのハンプティ・ダンプティが呟いた。その輪郭は卵のようにつるりとしていて、月光の中で冴え冴えと白い。


「天使がラッパを鳴らすとどうなるの?ハンプティ・ダンプティ」

と、我々の中の一人がそう訊ねた。黙示録もくしろくを読んだことのある者が誰もいなかったのだ。


「キリスト教徒でないなら知る必要はない。君たちはそこで指をくわえて見ているがいい」

 そう叫ぶとハンプティ・ダンプティは高い壁の上から身をひるがえし、まるで世界の終りのような音を立てて砕け散った。


 我々はハンプティ・ダンプティの語った通りに、指をくわえて世界の終りのようなその光景を眺めていることしかできなかった。


 時刻は24:00。しかし世界の終りはまだ来ない。

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