「宇宙」「雲」「こたつ」
「とにかく空腹なんだ」
と普通の男が言いました。
「どういう具合ニャ?」
とこたつで丸くなりながら、普通の猫が訊きました。
「まるで宇宙の虚無の部分を、そのまま飲み込んでしまったかのような空腹だ」
とあくまで普通の男が答えました。
「それは大変だニャ」
と普通の猫が言いました。「わしがその隙間を埋めてやるニャ」
それから小一時間、普通の男は体内に発生した宇宙の虚無のような空腹を埋めるべく、普通の猫の柔らかな体毛をモフモフし続けました。
「ああ猫よ、君の体毛は夏の露店の綿菓子のようでもあり、よく晴れた午後の空にぽっかりと浮かぶ積雲のようでもある」
「それは光栄ニャ。存分にモフモフするニャ」
宇宙の虚無のような空腹を埋めるには十分過ぎる時間が経過した頃、こたつの表面は普通の猫の抜け毛だらけになっていたとかいないとか。
めでたしめでたし。
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