【15-18】親友と祖母 上
【第15章 登場人物】
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【地図】ヴァナヘイム国 (13章修正)
https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16817330651819936625
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イエリン郊外の領主邸宅――そのサンルームでは、1人の少女が老いた
「帝国軍か来てくれなければ、私も父もこの国の為政者たちに殺されていました」
カーリ=フォルニヨートは、収容所での過酷な生活の一端を口にして、悪寒を覚えたのだった。思わず左右の手を交差し、両の二の腕をさすってしまう。
増殖を続けていたあの
彼女は、元外務省 対外政策課長・エーギル=フォルニヨートの一人娘である。そして、ヴァーラス家の令嬢・ソル=ムンディルの幼馴染であった。
彼女は幼馴染の祖母のもとを訪れていた。
ソルと突然の別れを余儀なくされてからの経緯を、カーリはゆっくりと述べていく。
【5-6】異国かぶれ ⑤
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父・エーギルは、軍務省次官・農務大臣とともに、帝国との開戦を回避すべく尽力した。
結果、外務省はおろか、ヴァナヘイム国政府・審議会のなかでも疎まれていく。ついには、国政の場に居場所を失い、追いやられるように下野する羽目になった。
父娘の逃避行は、長くは続かなかった。
2人が乗った馬車は、ヴァーラス領を抜けた辺りで鉄道相・ウジェーヌ=グリスニル麾下の追手に包囲されたのである。
そのまま、父親は政治犯として拘束され、父娘ともども収容所に放り込まれたのであった。
エーギルが追われてほどなく、帝国との戦争が始まった。
【5-18】梟
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父は、施設外へ追い立てられては、ヴァナヘイム国軍勢のために、炎天下での道路補強や極寒水中での橋脚修繕のほか、人血肉片散らばる戦場跡での遺体処理といった労役を次々と押し付けられていった。
娘は、老若女たちとともに、軍服や作業服の洗濯工場へ通勤を強いられた。そこでは、ダニや
猛烈な異臭を放つその液体は人体にも有害であり、彼女たちは誰しもが手指の皮膚がただれ、爪が抜け落ちていた。
カーリは、小銃部品の仕込みについても兼務も命じられた。
洗濯工場で洗浄・すすぎ・脱水・天日干しを終えるや、そのまま兵器工場に向かい金属の
つらい作業の日々のなか、カーリには苦楽を共にする少女たちが出来ていった。しかし、彼女等は突然工場に姿を見せなくなることもしばしばであった。
若い娘は、有無を言わさず女郎小屋へと配置換えさせられることを知ったカーリは、初潮を経たことをひた隠しにしていった。
帝国との戦況が悪化すると、父はそれらの雑役を解かれ、特務兵として出兵を命じられた。
帝国の砲撃によって王都の塔が崩された頃、エーギルはヴァナヘイム軍の兵員としてケルムト渓谷に配属されていたのである。
【14-16】安逸 1
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総司令官・アルベルト=ミーミルが、武装解除の命令に素直に応じたことで、父は軍役を解かれた。
【14-23】武装放棄 2
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それから間もなくして、この国は滅びた。
親友との突然の別れから、3年の年月が経過していた。
【作者からのお願い】
「航跡」続編――ブレギア国編の執筆を始めました。
https://kakuyomu.jp/works/16817330657005975533
宜しくお願い致します。
この先も「航跡」は続いていきます。
フォルニヨート父娘視点での帝ヴァ戦争に複雑な思いを抱かれた方、🔖や⭐️評価をお願いいたします
👉👉👉https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758
カーリたちの乗った船の推進力となりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます🚢
【予 告】
次回、「親友と祖母 中」お楽しみに。
カーリは、荷物を整えて待っていた。
渓谷から収容所に戻ったエーギルは、事情を把握できていなかった。そんな父に急いでここを引き払うよう事情を伝えたのは、娘の方であった。
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