一人じゃない。いつだって、見上げれば空が広がっている。

昔から、空を眺めるのが好きだった。

俯いた顔を上げれば、いつだって遥かな空が広がっている。ぽっかりした雲が、のんびり流れていく。
眺めるうちに私と空は一つになって、固く尖った心も溶けていくような気がした。

あの頃。歩道橋の上で、一人見上げていた空。
こんな風に、描いてくれた空の画家がいたのかな……。

一人じゃない。いつだって、見上げれば空が広がっている。
生きていく勇気を分けてくれるような、優しい物語。