人の心を空に描く画家の物語。 空模様を描くことが仕事の「僕」。様々な人の様子を見て、その心を癒すために空に色付けをしていく。そこには人々を包み込む優しさが溢れていた。 気落ちするとついつい下を見がちになります。そんな時こそ上を向いて空を見てみませんか。
昔から、空を眺めるのが好きだった。俯いた顔を上げれば、いつだって遥かな空が広がっている。ぽっかりした雲が、のんびり流れていく。眺めるうちに私と空は一つになって、固く尖った心も溶けていくような気がした。あの頃。歩道橋の上で、一人見上げていた空。こんな風に、描いてくれた空の画家がいたのかな……。一人じゃない。いつだって、見上げれば空が広がっている。生きていく勇気を分けてくれるような、優しい物語。