不思議な扁桃腺

この物語に出てくるヒロインは、扁桃腺を動かすことができる。小学生の時に男子を真似ていたらいつの間にかできていたのだという。
これは、ああ。ロリータの映画版でもみたな。ロリータがハンバートに「顎が動くのを見る?」と笑顔で誘うシーン。
まあ、この物語の主人公はおそらくヒロインと同い年だろうし、ロリータとは違う艶かしさを扁桃腺で感じさせてくる。この扁桃腺で艶かしさや恋の甘さ、苦さを感じさせるというアイデアや描写は実にシュールだ。それでいて、とても背徳感があって読む側もハラハラさせられる。後ろから何を読んでいるか見られているような気がして。
扁桃腺で動く恋物語、珍しい作品の上に恋の描写もどこか異質でダークな雰囲気があるのでオススメです。