「――ねえ、どっちが好き?」読み終わった後に、この言葉を思い返さずにはいられない。どう言えば彼女に届くのだろう、どうすれば正解だったのだろう。すべて読み終えたあとに、何か間違っていたのかな、なんて私も思い、そして何度も読み返した。彼女の一番身近にいた少年の視点で物語が進むが、それでもいったい彼女が何を思い、何を求めていたのかは分からない。そのままのことを口にしていたのかもしれないし、別の気持ちを抱えていたのかもしれない。ほんの少しだけミステリアスな彼女のことを考えて、そして読者は気付くのだ。私も惹かれていたのだと。
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