一話目の後半から、この作者さん特有の特異な設定がぱっと飛び出し、一気に引き込まれました。こんなゴミクズみたいな世界じゃ誰も幸せになれない、でも皆が皆常時ひどい人間なわけではないし、世界も常にゴミクズではない。でも、やっぱり世界はどうしようもない。このラストをどうとらえるかは読み手に委ねられているところが強いと思いますが、とてもおすすめしたい作品です。殴り殺すか手を振り返すか、どちらかを選んでください。
夢も希望も明るい未来も、どこにもありゃしないけど、それでも生きるしかないんだからしょうがないよね、みたいな。難しいお話です。絶望しきって三回転半ぐらいして開き直ってちょっと前向きになったように感じました。
倦んだ日々、小説に逃げ場を求めるがそれも叶わず、淘汰されないために他人を淘汰する人生を送る。 幸せの定義は多様化したように見えてその実、一つしかないのかもしれない。
後半のワンシーンが胸に刺さって取れません。 顔の知らない、話したことのない、たったいま会ったばかりの他人同士。それでもお互いが「そこにいる」ことだけは間違いない。空っぽでも、無意味でも、互いの存在を認め合って、それが小さな「生きている」という実感に繋がるのでしょう。思うに、人生はそんな小さな繋がりの連続です。もし孤独でなければ、そんなちっぽけなつながりにすら尊さを覚えることは無かったでしょう。 不思議と励まされるような、強いメッセージ性を感じました。面白かったです!