ストリップバーに行こう!

2019年、大晦日をまたいでアメリカ横断を決意したAskewさんのリアルタイム・エッセイです。今とはだいぶ文体も違っていますね。
ホワイトサンズ国定公園の砂漠を見て、ヒューストンでNASAの宇宙センターに行かなかった替わりにニューオーリンズに連泊して童貞卒業したり、ケネディ宇宙センターに行ったり、観光案内として見るだけでも楽しめます。

しかしながら、西海岸でUberのおっちゃんからお勧めされたClub M✻✻✻✻✻✻(正式名称は本編)に行かなかったのは明らかに失敗ではないかと思います。試しに、某サイトでこのお店のクチコミを見てみると……

・ここは今まで行った中で最悪のクラブ。・ダンサーよりもウェイトレスの方が綺麗だった。・店員は誰もが失礼であり、ここへの入場料に$20そしてダンスを観るために$25も払う。・ここはゴミ箱、貴方はその金をゴミ箱に捨てることになるだろう。・最悪のストリッパーを見て笑いたい趣味がある人に向いている。・もしあなたがアウシュビッツがどのようなものだったかを探しているなら、ここはあなたのための場所だ。・この場所に星を1つ(※最低評価)であっても付けなければならないことに動揺している。・地球の歴史上最悪の場所。

どうやら手痛い体験は人を饒舌にさせる効果があるようです。
今のAskewさんなら、きっと迷うことなく入ったのでは? 入らないかな? どうでしょう?

人は失敗しないように生きて行くことが、必ずしも正しい選択とは限りません。当初この旅も、特に明確な目的があって出発した訳ではなかったようです。
Askewさん自身は、作中で旅の前となんら変わっていないと仰っていましたが、ラストまで辿り着いた読者には旅の前と大きく変わった物が何か分かるはずです。私はその行程を彼と一緒に旅してコメントを読み、擬似体験するうちに行動こそが人を大きく成長させる糧なのだと気付かされました。

このエッセイを読もうとする人に、私は自分自身を叱咤する意味でも次の言葉を送りたいと思います。
さあ、旅に出よう! 失敗なんか恐れずに!

その他のおすすめレビュー

須藤二村さんの他のおすすめレビュー803