★★★ Excellent!!! 人の心から決して消えることのない恐怖が、読む者の意識をも深く穿つ。 黒須友香 各地で発生した、不可解な事件。 被害者に残されたのは、「味わえ」という文字で刻まれた傷痕。 決して消えることのないその文字が、刻まれた者の心をも、血を流しながら延々と刻み続けるのです。 生涯、心に棲み続ける恐怖。 一度味わった恐怖は、決して消えることはない。 では、傷を与えた加害者の人生は…? 傷を与えた者と、与えられた者。 交わることなく渦を巻く双方の感情が、この世で最も恐ろしい人間の心の残虐性を生み出し続けていく。 深い思考にどっぷりとハマりたい方、必読です。 あなたは、この傷にどんな意味を見いだしますか…? レビューいいね! 1 2021年8月10日 23:02
★★★ Excellent!!! 一生消えることのない刻印 柊圭介 不可解な事件の「被害者」たちと、その腕に刻まれた「味わえ」の文字。いったい誰の手によるものか。 司法などあてにならないとばかりに私刑というものが横行する世の中ですが、そんな集団心理よりももっと直接的でラディカルな神の手による刻印。人間ではない神による私刑です。 味わえ。お前自身が。 再読ですが、その分「被害者」たちの味わった恐怖と苦しみが、間接的に真の被害者の姿と重なり、さらに濃くその業を感じさせました。 死ぬことを選べない者たちは、一生消えることのない刻印を押されたまま生き地獄を歩むのです。 罪と罰という題材を不条理劇というかたちで明瞭に表現してくれる秀作。 レビューいいね! 2 2020年7月23日 20:57
★★★ Excellent!!! 心の苦痛は、時に『死』をも凌しのぐ 坂井令和 文字が刻まれていた。皮膚を薄く裂いたような傷から血が滲み、文字を示している。 『味わえ』。 正当な罰は誰が下すか。 被害者の苦しみは、誰も癒せない。 死よりも恐ろしい罰とは。 恐ろしくも、メッセージ性あるお話でした。 レビューいいね! 0 2020年1月11日 21:46
★★★ Excellent!!! 謎は謎であるが故に隠れている、お前たちを狙うべく。 キタハラ この作品にとっての大きな謎は隠されている。 読者は「そうかもしれない」と導かれるが、正解かどうか、正解と判断を下していいのかもわからない。 その巨大で不透明な何かに怯えることしか。 なぜならわたしたちは、這いずり回るしかない生者だからだ。 そしていつか、「味わえ」と刻印されるかもしれない。 レビューいいね! 2 2020年1月10日 16:57
★★★ Excellent!!! 正当な因果応報をくだすのは神か、それとも悪魔でしょうか。 宵澤ひいな 法の裁きが届かないところで、人知れず泣いている者が居ます。 傷付けられた側は心を閉ざし、時間を薬に傷を癒やそうとしますが、 「味わえ」 自分と同じ傷を味わえと、真実は、そう叫びたいはずです。 一度、刻まれた傷が完全に消え去ることは、ありません。 善行には善行が、悪行には悪行が、返ってほしい。 徒に繰り返される人間の暴力を裁く現象とは? 是非、御自身の心の目で、確かめてください。 レビューいいね! 3 2020年1月9日 02:03
★★★ Excellent!!! 死ぬよりも恐ろしいこととは 銀鏡 怜尚 短いながらインパクトがあり、そして考えさせられる話です。 シンプルな構成で、三つの事件を取り上げるが、それらにはある共通点が。 考察するうちに、ある恐ろしい真相にたどり着きます。 それは死ぬことよりも恐ろしいこと。 とにかくご一読いただきその目でお確かめください。 作者様が何を伝えたかったのかを……! レビューいいね! 1 2020年1月8日 01:32
★★★ Excellent!!! この恐怖譚を味わい真相を知ったとき、思わず襟元を正してしまいますぜ! 高尾つばき 物語のタイトルは顔です。初対面でつま先や背中から見る方は、まれでしょう。今作の顔、「味わえ」ですが、いきなりドキッとさせられます。いったいなにを味わえというのか。もうここで物語に引き込まれていきます。さらにとんでもない、背筋が寒くなる事件が展開していきます。それも次から次へと。ミステリーとホラーをとてもうまくマリアージュした物語、とでも表現すればよいでしょうか。真相が明かされたとき、読み手は「味わえ」の本当の意味を知ることになります。怖いです。これは現代に鳴らされる警笛だと受け取りました。お薦めです。 レビューいいね! 1 2020年1月7日 14:26
★★★ Excellent!!! 人間の因果に、そっと蓋をして。 夷也荊 突然、アパートの住民から警察に通報があった。アパートの住民の一人である男性が、何者かによって部屋に監禁され、食べ物を取り上げられ、冷水風呂に頭を突っ込まれた。そして何者かによって、暴力もうけたというのだ。しかし男性の言う「何者か」の痕跡はなく、保護された男性の腕に血が伝う。男性の腕に刻まれた文字こそが、「味わえ」だった。 そして苛めを訴える少年やレイプされた男にも、加害者の痕跡は全くなかった。しかしその二人の腕にも、一件目の男性と同じく、腕に刻印されていた。「味わえ」と。その文字を目にした者は、恐怖におののき、半狂乱になるほどだった。 そして、その刻印を受けた人々の間には、ある共通点があることが判明する。 刻印が関係する事件は続いたが、犯人は見当たらず、迷宮入りした。 これは、人の因果と恐怖の物語。 この恐怖に、果たして終わりは来るのか? 是非、御一読下さい。 レビューいいね! 1 2020年1月6日 07:50
★★★ Excellent!!! 犯罪を無くす、唯一の方法? 星の狼 犯罪、悪さをする愚か者が、その罪の傷みを先に味わえば……それが抑止となって、犯罪は無くなっていきそう。 後からでも、もちろん効果はある。恐怖は感染していくから……。 味わえ。とてもいいタイトルです。犯罪のない、本当に平和な世界を夢見てしまいます。 レビューいいね! 2 2020年1月1日 00:15
★★★ Excellent!!! 相応の報いを受けろ 宇部 松清 短編なので、下手なことを書いてネタバレしちゃったら大変ですからね、内容には触れません。 ただ、怖いです。 よくサスペンス作品なんかで「本当に怖いのは生きてる人間」なんて言いますけど、確かにな、って思う感じの怖さです。 だけど、ただただ怖い、不気味、その一言ではくくれない、どこか深く考えさせられるお話でした。 レビューいいね! 2 2019年12月30日 20:24
★★★ Excellent!!! この理不尽な世界に 野々ちえ 各地で起こる不可解な事件。 被害者の腕に刻まれた文字。 味わえ。その意味は―― この理不尽な世界に虐げられ、殺されてきた声なき者たちの叫びがぐっと濃縮されたようなお話でした。ある種とてもリアルな物語。ぜひ読んでみてください。 レビューいいね! 3 2019年12月30日 15:08