缶コーヒーが似合う大人達に捧げる群像劇

 もし最終破壊兵器なんて物騒な代物の起動ボタンを、うっかり掃除のおばちゃんが押してしまったら…?
そんなとんでもないIFを、どこまでも人間臭く描き切っているのがこの作品です。

 まず「ノンストップアクションギャグ」というタグに偽りは一切ありません。ボタンを押してから兵器の起動までたったの60秒! 社員達は頭と体をフル稼働させ、とんでもない仕掛けの数々に休むことなく挑んでいきます。詳細に作り込まれたビルの設計にも脱帽ですが、その突破方法もアイディアが練られており、アクションサスペンスという面だけ見ても十分楽しめます。

 ただもう一つ特筆したいのは「どこまでも人間臭い」登場人物の方々。トップと部下の間で板挟みの中間管理職、目を疑う行動に突っ走ってしまう役員、パニックになる人々に巻き込まれる人々、そんな事態はつゆも知らない関係者、そしておばちゃん…
極限状態で出てくる愚痴や本音と、そうじゃなくても出てくる何気ない会話からは様々な生き方や価値観が垣間見え、それはさながら社会の縮図の様。この世界が多くの人の人生で成り立っているという事が、世界滅亡の危機と共に描かれているのはある種の皮肉かもしれません。

 世界の危機を招いたのがおばちゃんなら、その危機を救うのもおばちゃん!?
ただのドタバタなコメディで終わらない、アクションも人間ドラマも詰まった素敵な一作です。

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