その笑顔は、善悪を超える

小学三年生の女の子が主人公ということでほのぼのかと思いきや(いやそういう場面もいっぱいあるんですが)、いざ読んでみたら予想を裏切るすごい作品でした。

もう主人公が本当に良い子! ひたむきで人情味があり、子供らしい寂しがりやな面もある。そんな主人公が成長し突き進んでいく姿に、親心をくすぐられずにはいられません。
仲間たちもまた子供で、辛い過去を背負いながらもたくましくなっていく様子に胸を打たれますね。

話が進むにつれて明らかになっていく世界の真実や、倫理観を揺さぶられるような数々の出来事。ショッキングで生々しい描写も多いですが、終盤にかけての怒涛の展開とラストは、必ず読んだ人の心を満たし、ウルっとさせてくれます。

「大いなる力には、大いなる責任が伴う」という言葉がありますが、この作品はその言葉の意味をよく伝えてくれます。
良い意味で想像を超える、実に骨太な一作です。

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