>「いつでもそうさ! 『か弱い私たちを助けるのは当然だ』ってな。お前らは都合のいいときだけ弱者の仮面を被りやがる!」
>「自分の身は自分で守れ! 頼るな! 祈るな! 世界は無関心だ!」
このセリフが好き。
怪物に自分の村を襲われた少女が男に助けを求めにいく。
しかし男は、正気で殺しなど出来るかと言わんばかりにアヤシイ煙草から紫煙をあげる。
ファンタジーだが、現実がダブって見える。
何かあった時にだけ助けを求め、それを当然だと思っている人達。
自衛隊だって無限の人員と物資があるわけじゃない。
殆どの医療施設は元々人員不足で、しかもブラック企業だ。
使命感だけで多大なリスクのある仕事が出来るわけがない。
ちゃんと自己防衛してくれよ。人込みにわざわざ出向くなよ。
……と、元医療職でバーンアウト(燃え尽き)した私は思うわけだ。
刺さるよ。この物語。色んなことに移しかえてみられると思う。
グサグサ来たなああああ!
これぞ、ダーク・ファンタジー!
『ザ・ダーク・ファンタジー』です。
それ以上の言葉は浮かびませんでした。
魔物に襲われた村から、助けを求めて勇者の元に駆け込むお嬢さん。しかし勇者は薬漬けでボロボロ。……えー、どうすんのこれ? と思いつつ、
じゃあ勇者視点で見たらどうなんだよ〜。
辛い思いをしてやっつけて、『ありがとう』や『名誉』だけで終わりかよ。たまたま、剣の腕がイイとか、異能の力が使える。それだけで勇者にさせられて、平凡でノンビリとした生活は送れないのか?
勇者なんかやめて、狂ってしまえ〜!
イヤイヤ、もう一歩進んで……。
どうせ狂ってる世界なら、この薬さえあれば狂えるんだ、誰でも勇者になれるんだ。
平凡な人間なんかやめて、アンタが勇者になれや〜! もうそれでいいだろう?
貴方の身近な世界でも、立場が違えば、色々とあるでしょう? そういう意味では、リアルでも起こり得る、ダークファンタジーです。
さあ、貴方も貴女も。
人間やめますか? 勇者やめますか?