スーパーカブはバイクではなかったのか…

ずっとオフロードバイクに乗って、東京都内や横浜から長野、山梨方面を走り回っていた。
毎年雪が積ると、「行くぞ!」と電話が鳴って、待合せ場所と時間を決めたら電話を切る。仲間内では「雪中行軍」と言っていた、冬季閉鎖中の、雪の林道ツーリングだ。
秋にゲート付近に足場板を隠しておいて、「雪中行軍」の時にチェーンの上に渡してジャンプで越える。リアタイヤには荒縄を巻きつけて、空気圧を下げている。
御荷鉾スーパー林道の様なフラットな雪道ではリアが外へ流れるのさえ抑えれば、そこそこのペースで気持ち良いが、丹沢から北、甲州街道の南北の林道は幅も狭く、九十九折で、吹溜りも多く、登るにつれ、走るよりも押す事が多くなる。
厳冬期の山、厚着は当然だが、押すうちに、一枚脱ぎ、二枚脱ぎして、終には半袖Tシャツ一枚で、身体中から湯気をたててバイクを押す。我ながら馬鹿な事とは思い、「二度と雪中行軍なんか行かない!」と、思いつつ十数年参加してしまった。
バイク好きの自分は「スーパーカブ」もバイクの内だと思っていたが、スーパーカブは道具でありながら哲学とか、生きる指標なのだと思った。
省みるに、自分のバイクはホビーであり、交通手段としての役割りすら疎かにしていた様な気がする。

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