第17話 凛から広夢への手紙
広夢くんへ
こんにちは、突然だけど、私は多分もうすぐ死にます。心臓病で。
だから、今日は私が死んだ時、広夢くんが混乱しないように、そして前を向いてくれるように手紙を書きます。
手紙なんてあんまり書いたことないから慣れないけれど頑張るね。だから、どうか最後まで読んでください。
まず、今日まで(私が死ぬ日まで)どうもありがとう。告白してくれて、そばにいてくれて、嬉しかった。行動が縛られて迷惑だった時もあると思うけど、それでも毎週来てくれて。すごく、嬉しかった。私は、広夢くんのことが大好きだよ。今も、これからも、好きです。えへへ、なんか恥ずかしいな。
次に、余命があることを言ってなかったことを謝りたいです。ごめんなさい。広夢くんが告白してくれた時、私は実はもう長くないなって思ってた。というか、だいぶ前にママとお医者さんが話してるのを聞いちゃった。でも、心配させたくなくて嘘をつきました。本当は、広夢くんと付き合うつもりなんて無かったの。だって私はもうすぐ死んじゃうんだもん。だから、私はちょっとの間でも好きな人と入れて幸せだけど、広夢くんに迷惑をかける訳にはいかないよなって。でもね、ごめんなさい。私は、広夢くんと付き合うという選択をしてしまいました。嘘をついて、広夢くんと付き合いました。私にとっての幸せだけを求めちゃったの。だからごめんなさい。私のせいで悲しませちゃうね。本当に、ごめんなさい。病気を黙っていて、そして悲しくさせて、ごめんなさい。。。
最後に。きっとこういう手紙ではあるあるの、チョット厳しいことを言います。
広夢くん、私は、広夢くんといれて最高に幸せでした。広夢くんとの時間は、神様がくれた最後のプレゼントだと思ってる。すっごく楽しくて、ついつい、広夢くんと学校行けたら良いなぁとか、思ってる自分がいました。でも、残念なことに私は余命宣告を受けました。もう長くないんだって。この世の中は、嬉しいことはあるけど本当に願っている奇跡は起きてくれない。そんなこと、分かってるけど、広夢くんと·····もっと一緒にいたかったな。広夢くんはすごく優しくて、かっこよくて、私の大好きな人。だからこそ、こういうことを言わないといけません。もちろん本当はこんなこと言いたくないけれど、でも、これが広夢くんのためだと思うから。
広夢くんは、私のことを忘れてください。そして、幸せになって。
今度は、私みたいに病気じゃない人を好きになった方がいいよ(笑)
広夢くんは本当にいい人だから、きっと次の人はすぐ見つかるよ。その人を、大事にしてあげてね。私とできなかったこと、例えばお出かけとか、一緒に登校するとか、そういうことをその人と沢山してね。
だから。私のことは、忘れてください。その人を、幸せにしてあげてね。
でも·····矛盾してるけど、ちょっとは私のことを思い出してくれると嬉しいなー、なんて。ダメだよね、あはは。忘れて。
もう、最近は起き上がることも辛くて、広夢くんと会う時も起き上がれないかもしれない。ごめんね。
でもさ、この手紙が、広夢くんのところにいかなきゃいいのにって、奇跡が起きて完治したらいいのにって、思います。ねえ、なんで私は病気になったんだろうね? なんで、広夢くんと一緒にいられないんだろうね?私の願いは『健康に、広夢くんといたい』それだけなのに。
なんだかぐちゃぐちゃしてきた。自分でも、よくわかんない。広夢くんに覚えてて欲しいのか、忘れて欲しいのか。もちろん覚えてて欲しいけど、でもやっぱりそれじゃあダメだと思うから、私のことなんて忘れてください。私のことなんて考えなくていいよ。私は、自分の弱さに負けて広夢くんと付き合う道を選んだの。覚悟はしてる。だから、広夢くんも自分のことだけを考えて。
最後の最後に、お願いがあります。
広夢くんは、元気で幸せに暮らしてくださいってこと。
私が出来なかったことも、広夢くんは健康だから出来る。健康って、すごく嬉しいことなんだよ?それを、ちょっとだけ心に留めて置いて欲しい、かな。
元気に暮らしてね。好きな人を見つけて、幸せになって。
今世では、私は広夢くんと一緒にいられないみたいだから。
じゃあ、寂しいけれど、本当のばいばいをしないとね。
広夢くん、今までありがとう。
そして、さようなら。元気でね。
凛より
微笑みを数える日ーキミとの時間ー[完]
微笑みを数える日ーキミとの時間ー 青野ハル @honohono
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