あらゆる意味で、翻弄された物語

先が予測できそうでできない物語はこれです。
まず何から話せば良いのか、それすら分からなくなっている。

光と闇の戦いが繰り広げられる話はいくつも読んだ事がある。
でもこれは違った。
もっと内部に……それこそ奥底深くに入り込み、もっと感情をかき乱す感じなのだ。
初めは何故? という感情でいっぱいになるのだけれど、そのうち主人公が歯痒くなっていく、それでも次には脇役であるはずの別な人物が心の中に住み始め、彼らの生き様とその理由を知る事になる。

苦しい気持ちの中に何があったのか、知るうちにもう抜け出せなくなるのです。
この感情の揺れや思いを共有している気にさせられ、救いを求めるようになる。

光はそこにあるはずなのに、何故手に届かないのか……
手にしているのに何故救われないのか……
読むうちにどんどんその理由を知ることになり、そして……

彼らの中にあるものを確認してほしい。
その理由と彼らの行動と思いを知った時、きっと何かが見えるはずです。

彼らは救われるのか否か……