開始早々にエンドコンテンツを獲得してしまった生産プレイヤーはそれでもゲームを続ける

第127話 秘薬①

　レストはどうにかテンリに運んでもらい、無事に名称不明のナニカを倒すことに成功した。

　あと『オブスキュアソルトマンの岩塩』という、ボスモンスター由来のクエストアイテムも無事に手に入れた。

　レストは名称不明のナニカのクエストアイテムじゃないアイテムをドロップせずに安心した束の間、思わず岩塩を取り出して動くか確認した場面もあったが。

　気が緩んだ状態で疲労した体を動かすのが辛かったので、その場で休憩した。

「テンリ、さっきはありがとな」

「…グヴゥ」

　予備の焼いた肉を多めにテンリへ渡して、感謝を伝えたレストは水で汚れを落としてから同一の装備に変え、戦闘疲れをフタバで癒してから、アノークの元へ向かった。

　ちなみに休憩時間中、岩塩は一切動かなかった。

「ゲットしてきましたよ～」

　レストは【宝物庫】から2種のアイテムを取り出す。

　一つ目は、あの虫食い植物の見た目をした人喰い植物、カンニングネペンテスからドロップした『カンニングネペンテスの根』。

　精神異常回復速度上昇小という見た限り、レストも知らない効果を持っていた。

　これは恐怖や魅了などの精神系状態異常の持続時間を減らす効果である。

　二つ目は、捕食者（龍）と被食者（鳥）の関係にあった、マイグラトリーエスケープバードのドロップ『マイグラトリーエスケープバードの羽』。

　HP回復量上昇小という、可哀想な絵面が長引かせた回復魔法を思い出させる効果だった。

「フタバ、ここにお願い！」

「あい！」

　それを砂の上に置いたレストに促され、抱っこされているフタバが持っていた不動の『オブスキュアソルトマンの岩塩』も置かれた。

　これの効果は、光属性強化小という属性の効力を強化する効果だ。

　それを確認したアノークは言葉が重なる声を発する。

「ホォーーーー（うむ、素材を集めてきたな。まずは報酬だ）」

　口から吐いた報酬を回収した後、アノークが会話を続ける。

「ホォーー（では作り方を教える）」

「これでですね。分かりました」

　正直な話、これらを見たレストは、あまりにも素材がバラバラで、何が出来上がるか想像できていない。

　一度確認の為に言った後、簡易調合セットを取り出す。

「ホォーーーーーー…ホォ（カンニングネペンテスの根の水分とオブスキュアソルトマンの岩塩で煮ていた…はず）」

　カンニングネペンテスの根の水分という意味は分かるが、カンニングネペンテスの根をどうすればいいか分からず硬直したレスト。

　さらに、はずという言葉で反射的に返した。

「はず？」

「……ホォーー(何分昔のことでな)」

「カンニングネペンテスの根の水分ってどうやって？」

「ホォーーーー(すまんが、素材は昔助けてくれた人から聞いたが、作り方は聞いてなくてな)」

　レストは頬が引き攣った。

　さらに、アノークは「ホォーーーー(作っていた様子は見ていたが、少ししか思い出せなくてな)」と申し訳なさそうに小声で呟く。

　どうしろと、とレストは思わずに入れなかったが、冷静な部分（ゲーム脳）が別のことを分析した。

　普通なら秘薬完成時に渡しそうな報酬が、秘薬の材料持ってきただけで報酬が貰えたのかだ。

　それはこの状況が理由ではないかとレストは考えた。

「…はぁーー」

　まだまだ苦難が続きそうな状況に頭を抱えた後、ため息を吐くと操作画面に存在するメモ帳を開いた。

　レストは僅かに笑みを浮かべて聞く。

「根の水分と岩塩を煮た後は何ですか？」

　アノークが分かる限りの内容を聞いて、メモを取った。

　分かったことは想像以上に少なかった。

・根の水分を抽出する。

・根の水分と岩塩で煮る。

・緑の液体で羽を煮る。

・完成した液体に羽を浸ける。

・羽を取り除いて完成。

　頭を抱えるレストに、アノークは思い出したらまた伝える、と言った。

「やってみるしかないか…」

　レストは作ってみたら気がつくことがあるかもしれないので、フタバはテンリに任せ、調合してみることにした。

　まず取り組むのは根の水分を確保する方法だ。

「ナイフで削ったやつを潰してみるか」

　カンニングネペンテスの根がごぼうに似ていたので、太い方をごぼうのささがきを作るみたい削ってみた。

　そうすると、

「この根、結構水気が多いな」

　根の切り口から徐々に水が垂れ、水滴となって乳鉢の上に落ちる。

　この水が根の水分の可能があったので、ビーカーを大きい物に変え、削った根と水分を集め始めた。

　最初ということで、残りの根を器に入れて液体を貯めながら、乳鉢と乳棒で削った根を磨り潰す。

　その潰した根でできた緑の液体をビーカーに入れ、焚き火で煮ながら砕いた岩塩の一部を入れた。

「次はこれで羽を煮って…浸ける？煮た後に浸けるってのがよく分からない。煮たら出してみるか」

　混ぜている湯だった緑の液体に、カンニングネペンテスの根を入れて煮る。

　少しして羽を取り除き、ポーション瓶に入れて鑑定してみた。

名称：混合液

種類：薬品　品質：1

耐久値：20/20　重量：1

効果：服用時に、低確率で腹痛微。使用不可。

参考：レスト作。クエストアイテム。

「ダメか…」

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急いで書いたから抜けがあるかもしれません。

書く気力が湧きませんので、気力が湧き次第更新を再開します。