まんざい

第2話 無償

下手に立つ男「10月から保育無償化になったじゃないですか？」

上手に立つ男「そうなの？消費税が10%になったのは、知ってるけど」

「ああ独身で彼女いなくて、子どもいない寂しいお前は知らないか」

「うるさいな！てかお前も独身だろ！」

「でもあれ保育無償化って嘘ですからね！誇大広告です！」

「嘘？国が嘘つくわけないだろ」

「一部無償ですから！」

「一部ってどういう事？」

「副食費は払いますから！」

「副食費って何？」

「お前飯食べるだろ？主食だけで済ますの？」

「は？主食とか副食とか何なの？」

「主食は、米とかパンとか麺だろ」

「副食は、野菜とか添え物」

「ん？それ可笑しいよ！」

「ベジタリアンはどうするの？主食野菜だよね？副食費払わなくていいの？」

「ややこしい事言うなっ！ベジタリアンの子どもなんかいるか！」

「なんか府に落ちないな…」

「とにかく！副食費は払わないといけないの！嘘でしょ無償じゃない！

それに一番大変な時期って0歳の赤ちゃんの時期付近でしょ？何で3歳児から無償化なの？バカなの？中途半端な事しやがって！」

「お前詳しいね」

「って、赤ちゃんが生まれた俺の姉ちゃんが言っていた」

「お前の姉さんの話かい！」

「でも今、一部無償化が、ブームなんですよ！」

「どういう事？」

「今、桜を見る会がニュースになっているじゃないですか？あれも一部無償化なんです」

「芸能人や自分の後援会の人間を招待している訳でしょ？納税者の一部じゃないですか？」

「なるほど！ってなるか！あれは歴史あるイベントなんじゃないの？各界の功労者の慰労の為の」

「功労者ね！誰が誰のための功労なの？納税してる時点で皆等しく国の功労者じゃないの？」

「ああ…でも俺、昨日住民税滞納でまとめて役所に納付してた…」

「いい加減にしなさい！」

「「どうもありがとうございました」」