まんざい
花和田 鬼小太
第1話 父親になる。
下手に立つ男「俺。お父さんになりたい!」
上手に立つ男「急にどうした?」
「俺、昨日事務所の前のさざんか児童公園で漫才の練習してたんだけど」
「うん…俺もその場にいたけど」
「で。休日野球をしたりして遊んでいる親子がいたんだよ。いいなぁと思って」
「そうだね」
「だから俺今後のシミュレーションで父親やってみたいから子どもやって!」
「まかせな」(観客にドヤ顔)
「お父さん!お父さん!公園で遊ぼうよ!」
「今漫才のネタ書いててで忙しいから後でな!」
「次の日」
「お父さん!お父さん!お外で遊ぼうよ!日曜だよっ!」
「日曜日?悲しいけど、芸人に週休二日制はないんだ。俺エージェント契約してない口約束芸人だから」
「次の日」
「お父さん!外であそ…」
「ごめんな。闇営業がバレて謹慎中なんだ…」
「おいっ!!子どもとの遊び!それやりたいんじゃないの?!」
「リアルは、こんなものだよ…」
「しんみりしちゃったっ!」
「ごめんな!タカヒロ、お前の顔、俺によく似てるなぁ…」
「続けるのね…」
「えっ…なんで謝るの?」
「そっくりじゃないか!」
「親子だから似ても不思議じゃないよ!」
「親子だからって似るとは、限らんだろ。似てない兄弟だっている。ほら叶姉妹だって全然似ていないじゃないか!」
「あれは、本当の姉妹じゃないっ!」
「タカヒロすまない!父さん太ってるじゃないですか?はい!お前も太ります!」
「言い方気持ち悪いし…言い切っちゃたよ!」
「父さん、デブの遺伝スイッチ入れっぱなしでしたっ!」
「お父さん何言ってるの?」
「遺伝子ってスイッチの入り切りがあるんだ…」
「父さんデブ切り忘れてた。てへっ♪」
「電気のスイッチ切り忘れてたぐらいのテンションで言わないで!そんな大事な事!」
「お前は母さんと、ちょめちょめして誕生したんだが」
「やめて!いろいろな意味で!」
「そのちょめる直前の遺伝子の状態がそのまま遺伝されるという実験データがあるらしい」
「父さんダイエットしようと頑張ったんだけど精子トレーニングってやつで…でも直前でリバウンドしてしまいました♪」
「あれだよ!スポーツ選手の能力って遺伝するじゃないですか?だからデブも遺伝します!」
「僕はどうすればいいの?」
「痩せたい?」
「じゃぁ。この壺と水を友人に売りなさい。痩せますよ」
「マルチ商法!?」
「しかし安心しなさい!タカヒロ!遺伝スイッチは切り替え可能なんだ!」
「ほ…本当に?」
「宇宙に行きなさい!」
「はい?」
「宇宙空間で遺伝スイッチが切り変わったって事例があるんだよ」
「宇宙にはいけないよ。ゾゾ売って女優にフラれた元社長じゃないんだから!」
「ならあきらめろ!」
「いい加減にしなさい!」
「「どうもありがとうございました」」
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