第8話 8わ

みなさま、きょんでありまする。

宇宙そらの港のお話、今しばらくのお付き合い、よろしくお願いいたしまする。




やっと宇宙そらの港へ到着したのでございまする。


港は、わたくしめが見たこともないほどの、人やあやかしでごった返しておりまする。


先ほど通ってきた、市の賑わいにもまけないほどの人、人。人のむれでございまする。



せかいには、なんとたくさんの人がいることでございますな。


その人に混じり、わたくしどものような、あやかしどもやつかさたる代行者の方々が、ちらほらといる、いらっしゃるようでございまする。


本日飛びたつ、宇宙の船。

それとともに旅立ってゆかれる方たちの身よりのかたでありましょうか。


わたくしめには、まったく分からぬことではございまするが、

昨今さっこんのこの世界からは、人が減るばかりと聞きおよんでおりまする。


しばらく前に、かずさま、はるさま。

お二方がこの世界より、宇宙そらの船にて飛び立ち、

ほかの人々や、人とともにゆくあやかしや、かずさまの一族も旅立たれたとか。

かずさまの眷族けんぞくがたではございませぬ。

現界なさるまえの、かずさまのお身内の方でありまする。



その船は、いまわたくしめが見ておりまするこの船と、遜色そんしょくなき大きさであったということでございまする。



いやはや、

たいへんに大きな船にてございまする。


かたちはそう、竹の子のようでございまするな。


この宇宙の港から、宇宙の船が鳥のようにそらへと飛び、星をわたるとのこと。


星の海では宇宙そらの船はたたんでいたつばさをひらき、

じゃっくや、月や、いくつかの惑星ほしから放たれる矢のような光、れえざあともうすものを受けて、光のようにはやく飛ぶのだそうでございまする。



星の種ともうす名の旅。

風に飛ばされた綿ぼうしの種が、遠き地で芽吹めぶきそだつように、

人びと、そしてあやかしも、星を渡り、遠き星にて根づくことになりましょう。


なんとも考えつかぬことの起こる時代でありまする。


星を渡るとは、いったいどのような気持ちでありましょう。

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