この内容でこの大笑いはお得感しかないですね(密林レビュー感)

 捻った内容でラブコメを書ける人間ってほんと凄いと思うんですよ。
 エクストリームラブコメって言うんですか。競技人口は少ないんですけど、昔からこっそりと行われていて、「いやそれは流石に無理でしょー」って、書き手も読み手も思っちゃうテーマを出して、それできっちり読者を楽しませるみたいな。
 書く側にあきらかに不利みたいな状況を逆に楽しむみたいな。
 けど、やっぱりそういう難しいテーマだと、地力がきっちり出ちゃって。どうしてもどこかで、無難なキャラネタに逃げちゃったりするんですよね。え、これ、テーマ関係なくない、みたいな所で軟着地して、あとは惰性で書いちゃうみたいな。
 だから最後までその「テーマ」でしっかり書き切るのもだし、それで一本ストーリーとして筋通すってだけでも、相当筆力が必要なんすよ。
 いや、ほんと、これマジな話ね。

 うぼぁああああああああああああああああっ!!(完全敗北の雄たけび)

 ネットワークビジネスでここまでラブコメ書けるとかなんなの。
 毎度毎度話の流れは「勧誘⇒逆勧誘⇒撃退⇒深まる俺たちの絆(そして愛)」なんだけど、ネタが豊富過ぎるよ。ネタの引き出しどんだけ持ってんの。そんでもって、ネタの闇が深いよ。深いよ、のび太ん家の勉強机の中くらい深さがあるよ。けど一番怖いのは、それを的確に笑いに繋げる文章のテンポだよ。
 はーもうなんなん、笑うしかないやんこんなん。

 さて、ネットワークビジネスと言うと胡散臭さしかない訳ですが、安心してください、ご想像の通りです。最高に胡散臭いことしか言わないヒロインとサブヒロインが、最高に胡散臭いことを言い続ける、ただそれだけでくっそ笑えるラブコメです。どうなってんの。
 この難しい「テーマ」をうまく調理したというより、ラブコメの話に合わせて「テーマ」を上手く持ち出してくるという感じがほんと強い。「テーマ」に踊らされているんじゃなくて、「テーマ」を完全に把握しているからこそできる、絶妙な台詞回しに、「ここはM-〇グランプリか?」とちょっと本気で思っちまうくらいの勢いがあります。あれですね、流行りのミルクボーイ的な。ネットワークビジネスで出てくるうさん臭さ(ウリ)を理解しているからこそ、ここぞという適切な使い方を出来てる感。ほんと、上手い。下手な漫才よりよっぽどうまい。

 六畳さんの作品は最近見させていただいて、「あ、これ文体が好きな奴やわ」と思い、本作も追わせていただいていたんですが、思いがけず大当たりでした。
 漫才染みたやり取りが好きな人には、文句なく御勧めでございます。

 ただし、僕はアピュイにはならんでよ。(バイナリオプションもやらんでよ)
 人間は自分の納得できることを納得してやるのが大切なんや!!

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