君の傍に居たい、そんな理由でビジネス始めてもいいんじゃない(始めない)

「久々に昔の友達から連絡が来たと思ったらマルチ商法の勧誘だった」という経験のある方、少なからずいるでしょう。
あの時の、何とも言えない苦ーい気持ちを思い出してください。
本作の彼と彼女にとっては、それがスタートラインでした。

未だかつてこれほど見事に、怪しいビジネスと歯噛みするようなアオハルが融合したラブコメがあったでしょうか。
告白、デート、新しい部活の立ち上げ、複数のヒロイン、ライバル登場、水着回……と、ラブコメにありがちな展開を網羅しているにも関わらず、それら全てがビジネス()絡み。
作者様の知識とコメディセンスが最大限に活かされた設定と展開に、舌を巻きました。

浮かれポンチな主人公・チョイ君と、勧誘によって悉くフラグをへし折るヒロイン・朱莉ちゃん。
二人の掛け合いがハチャメチャにテンポ良くて面白く、ややこしいビジネスの話もすっと入ってきます。
毎回毎回、期待通りに期待を裏切られるチョイ君が面白……とても哀れです。あんなに的確なツッコミを入れられるのに、惚れた弱みとは。

でもね、これが腹から叫び出したいほどのアオハルになっていくんですよ。
最初は「イヤこれは羨ましくないわ……」と思ってたんですけど、いつの間にか「う、羨ましくなんかないもんねっ!」に変わってましたからね。

そして最終章。
よもや感動するとは思いませんでした。
好きなことに熱くなれる気持ちは、何より大切ですね。
「君、夢ってあるかな?」
最初と最後で、このセリフから受ける印象が大きく変わっているはずです。

あたたかくて、爽やかで、キュンとときめく素敵な読後感。本当に面白かったです!

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