2周目でも、清らかで鬱くしい言霊が凄まじい勢いで私の情緒を掻き乱す

初めに申し上げると、私はこの『コトダマアソビ』という作品を、数年前に他サイトで読了しています。
つまりは、本作のラストまでの展開を知っているのです。
それでもなお、読み進めるほどに登場人物たちに感情移入し、心が引き千切れそうになっています。

狭い教室の中にある、暗黙の了解の同調圧力や目に見えないマウンティング。
親から子への、期待あるいは躾という名の根深い呪い。
誰もが持ち得る傷を暴いて、相手の魂そのものを『言霊』で縛ろうとする悪辣な美少女・氷花の存在感がすごい。

私の最推しは、第4章に登場する氷花の母・貞枝さんです。
何もかもが凄絶すぎる。その美貌も、偏執と狂気に満ちた苛烈な人生も。
この章の佳境では、各話拝読するたびに情緒を激しく掻き乱され、回復にしばらく時間を要しました。

そしてこれから始まる最終章。
アレが来る……そしてアレも来る……と、かつて拝読した記憶を元に、パワーアップした改稿版の破壊力を今から戦々恐々楽しみにしています。

選び抜かれた美しい言葉によって綴られる、魂を揺さぶる物語。
あなたもぜひ、この濃密な世界にどっぷり浸ってください!

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