一人の異邦の青年と、日本の中学生たちを中心とした「言霊」を巡る不思議な物語です。
私のお気に入りは、なんといってもヒロイン(?悪女?)・氷花。
無敵感あると思えば小物っぽかったり、大人びているように見えて突然子供のようにヒステリックにわめいたりで、見ていて飽きません(笑)。
彼女のおかげで、難しめの言葉が並ぶ本作がぐっと親しみやすい作品になっている気がします。
彼女が属する一族は異能を秘めており、「言霊」が大きな力となります。
どんな経緯で、どんな感情を乗せて「言霊」を発するのか。
場合によっては惨劇にもなりかねない異能。
既に壮絶な過去を経験してきた氷花と兄の和泉、二人の兄妹の確執は。
二人の「言霊」がどこへ向かうのか、どんな運命を辿るのか…と、続きがとても楽しみです。
引き続き氷花のキャラクターに期待しています!
初めに申し上げると、私はこの『コトダマアソビ』という作品を、数年前に他サイトで読了しています。
つまりは、本作のラストまでの展開を知っているのです。
それでもなお、読み進めるほどに登場人物たちに感情移入し、心が引き千切れそうになっています。
狭い教室の中にある、暗黙の了解の同調圧力や目に見えないマウンティング。
親から子への、期待あるいは躾という名の根深い呪い。
誰もが持ち得る傷を暴いて、相手の魂そのものを『言霊』で縛ろうとする悪辣な美少女・氷花の存在感がすごい。
私の最推しは、第4章に登場する氷花の母・貞枝さんです。
何もかもが凄絶すぎる。その美貌も、偏執と狂気に満ちた苛烈な人生も。
この章の佳境では、各話拝読するたびに情緒を激しく掻き乱され、回復にしばらく時間を要しました。
そしてこれから始まる最終章。
アレが来る……そしてアレも来る……と、かつて拝読した記憶を元に、パワーアップした改稿版の破壊力を今から戦々恐々楽しみにしています。
選び抜かれた美しい言葉によって綴られる、魂を揺さぶる物語。
あなたもぜひ、この濃密な世界にどっぷり浸ってください!
誰もが心理的なパワーバランスを保つことに神経をとがらせている閉鎖社会『中学校』――
息をひそめて平凡をよそおい、目立たないよう暮らしていた佐々木和音。彼女の学校に絶世の美少女・呉野氷花が転校してきたときから、何かが崩れ始める。級友の態度は変わり、和音は苛めの標的にされてしまう。和音の出会った氷花の兄・呉野和泉は、彼女に身を守る方法を教えるが……。
三浦柊吾は悩んでいた。彼の友人・雨宮撫子に異変が生じているのに、彼女が想いを寄せる日比谷陽一郎が頼りないのだ。ふたりの傍には、呉野氷花の姿が。友を助けようとする柊吾に、和泉は氷花の秘密を告げる。
――恐るべき ”言霊” について。
◆
選び抜かれた言葉によって、繰り返される呪詛。ヒリヒリと剃刀で削ぐような心理描写に惹きこまれます。氷花の目的は? 和泉は重ねられた怨嗟を絶つことができるのか?――この "アソビ" を終わらせるのは誰か。
息を呑む伝奇ファンタジーです。
言葉を発したら、それには霊力がこもる。
年相応の少女の目線から語られる、不気味かつ日本の歴史を辿るような奥深い世界に圧倒されます。
文章然り、世界観然り、主人公の歩み方然り。
文字へのこだわりの尋常ではない思い、もとい重み。
それでいて、女子中学生からの世界という、一見朗らかそうで、裏では殺伐とした世界感に飾られ、一層雰囲気を引き立てます。
こう、子供のころ、夕暮れ時に一人で公園で遊んでいるときの不安に似た感情。
不気味さと、凝られた文章に、思わず昔のふとした【子供の頃の怖さ】を感じ、そして、それに果敢に挑んでいく主人公に頼もしさを覚える。
こういう文章は、ぜひとも書籍体で読んでみたいと思う、自分なのでした。
弱味につけこまれると、人の精神など弱く脆い。
悪意を持たない言葉でさえ、時として致命的に、
心の一番危ういところを切り崩してしまうもの。
では、言霊の力を帯びた悪意がそれを為すなら?
言霊の異能を操る美しく残酷な少女、呉野氷花。
他人の心を見透かすかのような青年、呉野和泉。
異質なものを感じさせる兄妹をキーパーソンに、
少年少女は悪意に弄ばれ、そして抗ってみせる。
中学校という閉塞的に完結した世界が主な舞台。
緻密な心理描写が子供と大人の境目の危うさを
あぶり出し、葛藤や恐怖の中へ読者を引き込む。
連載途上の群像劇、続きも楽しみにしています。