その言霊は悪意を具現化し、リアルを壊していく

弱味につけこまれると、人の精神など弱く脆い。
悪意を持たない言葉でさえ、時として致命的に、
心の一番危ういところを切り崩してしまうもの。
では、言霊の力を帯びた悪意がそれを為すなら?

言霊の異能を操る美しく残酷な少女、呉野氷花。
他人の心を見透かすかのような青年、呉野和泉。
異質なものを感じさせる兄妹をキーパーソンに、
少年少女は悪意に弄ばれ、そして抗ってみせる。

中学校という閉塞的に完結した世界が主な舞台。
緻密な心理描写が子供と大人の境目の危うさを
あぶり出し、葛藤や恐怖の中へ読者を引き込む。
連載途上の群像劇、続きも楽しみにしています。

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