母として、妻として、女性として、そして、職業人として。瞬間瞬間を大切に生きるヒロイン、シュカ。
その生き様と背負った過去に、この状況で自分はシュカのように選択できるのか、と自問する。答えはきっと否だ。
シュカの大きな愛、それを自らの手で守ろうとする強い意思は、美しい。それを実現する行動力もまた。
母として、職業人として、どう生きるべきか悩むシュカの姿は、すべての働くママたちが抱えて揺れる悩みでもある。
働くママに限らず、大切な人を抱えて世の中の前線に立つ誰もが、同じ思いを抱えているはずだ。
シュカが手を伸ばして選びとる未来を、ぜひ一緒に、体験してほしい。
SF小説って、ほっんと女性に読まれないんですよね。
小難しい設定や、難解な言い回し、人間関係の希薄さ、そして、女性キャラクターの記号感。
女性主人公のSF作品は多々ありますが、果たしてその主人公が女性である必要性があったのだろうかと疑問に思います。かわいい顔をした男の子におっぱいを付けただけではと。
そういったSF文脈の中で、この『レアメタリック・マミィ!』は産声を上げました。
この作品の主人公シュカは、女性でなければなりません。
シングルマザー生活の苦労、男性社会での生きづらさ、愛するパートナーとの別れ。機械生命体を蹂躙するSFアクション小説を、「女性目線で捉えた世界風景」がサブプロットとして作品を強固に支えています。
とにかく爽快なアクションを、キレのある文体が彩るメインプロットも読みどころ。この部分では女性だなんだ関係なく、迫り来る敵をバッサバッサと斬り捨てるアクションが楽しめます。
《SF小説なのに》読みやすいのは作者様の力量によるものですね。情報の取捨選択、圧縮、拡散が的確になされており、とにかくリーダビリティが高いです。
「SFは苦手だな。でも、最近普通の恋愛小説や人間ドラマにも飽きてきちゃったし、たまには何かスカッとするアクション小説でも読んでみたいなー」という女性読者の方に《特に》おすすめします。
もちろん、完成度の高いSFアクション小説が読みたい男性の方にもおすすめできる小説ですよ。
そんなに遠くない未来。
スクラップ資源からレアメタルを回収することを生業とするレアメタル・ハンターという奴らがいた。
これはその、ハンター・チームの紅一点。凄腕女性ハンター、カンザキ・シュカの物語である。
ただしこの時代のレアメタル回収は困難を極める。スクラップ・クリーチャーなる謎の怪物が出現し、鉄材をマテリアルとして巨大な図体を形成し、人間を襲うからだ。
シュカは、スカイスーツで空を自在に飛び回り、近接武器のソードを手に、この巨大な怪物に挑み、そのコアを破壊するハンターチームのエース。
だが、彼女は一方で、一児の母でもあるのだ!
昼間は荒野で巨大なモンスターを相手に剣を振るい、終わったら息子を迎えに行って家では五歳児という怪獣を相手に奮闘する。
激しくも幸せな生活をおくるシングル・マザー、それがカンザキ・シュカだ。
ところが、スクラップ・クリーチャーどもに、なにか今までと違うおかしな動きをする奴らが現れ……。
作者さんは、実生活でも母親で、息子さんにつきあって朝の特撮をみているうちに自分もドハマリした経験のあるSFスキーな書き手さんです。
そのため、ちょっと終末的な未来社会を描きつつも、主人公の活躍はもう「行くぜ行くぜ行くぜ!」の「最初からクライマックス」。スクラップ・クリーチャーなんか「倒しちゃうけど良いよね? 答えは聞いてない!」みたいなノリです。
女性であるのに、ハンターチームのエース、シュカの強さはほんと、「泣けるでー」。
また、彼女とチームを組む野郎どもも、かっこいいです。
隊長のトバリは、「男の仕事は八割が決断だ」的な感じの頼りになるリーダーだし、同僚のアンジは、それを言うなら「俺たちは、だろ」と背中を任せられる男。後輩のエータはちょっと頼りなくて……まあ、「エータをよろしく!」とでもしておきましょう。
先行き不安な世界で、大切な人を守るため、クールで強くて美しい、最高に格好いいママが仲間とともに空を駆けます。
不気味な怪物、闇に潜む強大な悪、街に襲来する化け物の大軍。
しかし、シュカは負けません。彼女には天翔けるスカイスーツと、決して折れないソードと、そして「仲間がいるんだ」。
アクション、アクション、育児、アクション!
この爽快な物語は絶対にあなたの期待を裏切りません。
このレビューを読んだそこのあなた、どうぞぼくに「釣られて」みて!
はいよー、やってまいりましたよ。お楽しみの日曜すずめ劇場。
今回の物語の主役は、戦うシングルマザー!
荒廃した近未来世界に現れる謎の怪物、スクラップ・クリーチャーをバッタバタと華麗になぎ倒す、スーパー強くて美人で、おまけにおppもすごい、ハイスペックおかあさんです!
もうですね、あらすじ読んだ時点で物語のクオリティの高さは概ね予想しておったわけですが、見事その予想をどぴゅーんっと上回ってくれましたね。
本格アクション映画顔負けの戦闘シーン、推敲を重ねたであろう世界情勢設定、各種武装や電脳チップなどのテクニカル設定、見事にキャラが立った愛おしい登場人物たち。紡がれる壮絶な過去と、時々ほんわかエピソード。
そして一転二転でハラハラドキドキが止まらない、ときめきどこまでもエスカレートなドラマ展開。
今回も、爽快な洋画を一本観終わったような満足感を得ることができました。
これもう、ハリウッド映画ですやん。
ハリウッドならぬ、スズメッド映画ですやん。
荒廃した大地を、空を、スカイスーツで縦横無尽に飛び回って戦うシュカさんの姿が、一話の時点で眼前に浮かんできますやん。
畜生、また俺の目を盗まれた……素子おおおお!
物語の舞台自体は、近未来SFのテンプレ的要素もおさえつつ、そこまでエポックメーキング……というわけでもないのですが、凄いのは、このゴリッゴリSF洋画ワールドの主役を、「子持ちのおかあさん」にしちゃったところですね。
シュカさんが某少佐的な、ただの凄腕パワフルウーマンだったら、それこそこの作品に真新しさを感じたりはしなかったでしょう。
しかし、これが五歳児の母となれば……もう、キャラ付けは完璧。
子持ちの読者さんなら、ある意味スクラップ・クリーチャーよりも厄介な生き物相手に悪戦苦闘するシュカさんの育児エピソードを見て、思わず「あるある~」と唸ってしまうこと請け合いです。
ストーリー始まって早々、主人公にここまでスルッと感情移入させてしまうSFは、非常に珍しいかもしれません。
本格SFストーリーをSFに明るくない読者にもサラッと読ませてしまう作者さまの客引きテクと絶倫の技量については、私もすでにうっふんあっはんと骨身に染み込まされておりますが(?)、なるほど今回はこう来たかと膝を打ちました。
そうなんです、一流の技量を持つ美人レアメタル・ハンターも、血の通った人間なんです。可愛い子供の親なんです。ぼくらはみんな、生きているんです。ミミズだってオケラだって小説の登場人物だって、みんなみんな生きているんです。
ああ、タ〇コマたちの大合唱が聞こえてくる……(幻聴だ)
さあさあ、「SFなんて堅苦しいのはごめんだぜー。それよりおっぱいだー!」などと嘯いている、思春期SF敬遠読者たちよ。騙されたと思って、この物語を読んでみてください。
きっとあなたたちの心のSF史に、新たな1ページが刻み込まれるはずですから!
とにかく完成度の高い一作。
伏線とその回収が見事。
満載のアクションシーンに加え、「働くお母さん」としての主人公がいい。
派手なアクションをこれでもかと見事に描写する一方で、「戦うヒロイン」と「シングルマザー」の二面性を持つ主人公の内面をごく自然に描いているのが、本作の最大の特徴だと思います。保育園のお迎え事情とか書いてあるんですよ。
ヒロインのシュカは、強いのはもちろん、大人の女性としてもかっこいい。
だからヒーロー的役割を担うアンジとのバディ感が生きてくる。
このアンジ、すごくいい男なんですよ~。でも二人の間にはべたべたした感じはなく、ちょっとした会話のやりとりがいいんだなあ。
アンジだけでなく、他の脇役もキャラが立ってます。
私が好きなのはトバリさん。素敵すぎます……。
そして、出番は少ないながらもジェニーさんが強烈な印象を残しました。素晴らしいキャラ。包容力と飯テロです。
最後に、なんといってもヒロイン・シュカの息子であるイチ君! 彼の存在によって、自分の子どもが小さかった頃のことを思い出したりして、個人的には、物語の外の世界への広がりもありました。
まとまりのないレビューになってしまいましたが、完成度の高い良作です。
文字数に怖気づかずに是非、読んでみて欲しいです! おすすめ!
「さあ、さよならの時間だよ。」
近未来—―資源を巡る大戦争から、今ある世界が塗り替わってしまった世界。
そこでは、旧世界の残骸によって形作られた「スクラップ・クリーチャー」と呼ばれる怪物たちがいた。そんな怪物たちを狩り、かつ、その中にある貴重な資源を回収するための戦闘公務員—―それが「レアメタル・ハンター」である。
この作品で面白いのが、主人公の設定がシングルマザーという点です。
主人公のシュカは、戦闘公務員「レアメタル・ハンター」であると同時に、五歳の息子を一人で育てる母親でもあります。
スカイスーツと呼ばれる装備で空を駆け、マルチレールガン(複合電磁銃)やブレード・ウェポンで敵を粉砕してゆく姿は、読んでいて爽快であり、戦うヒロインとしての格好良さ満載です。しかし同時に、彼女は育児や家事に忙しない一人の母親でもあります。相反ような二つの顔、そのギャップがこの作品をよりクォリティの高いものへと成功させています。
私生活の描写は、子供を持つ女性であれば恐らくは誰もが共感しうるものでしょう。随所に挟まれる育児の描写、シングルマザーとしての苦労、息子に向けられる眼差しや愛情—―。それらの描写には、時として冷や冷やしたり、時として心が温かくなったりして、主人公を応援する気持ちへとつながってゆきます。
そうして訪れた物語の暗転――。
国の中枢から職場にかけて動いている黒い影、疑惑、スクラップ・クリーチャーや世界の成り立ちに潜む謎。そして街を襲う新たな敵の姿――。
この物語の要は、「相反する」と思われがちな主人公の二つの顔(戦うヒロインとしての顔・シングルマザーとしての顔)が、ストーリーの中で完全に交差している点です。守りたい大切な人――息子――がいるからこそ、彼女の戦いはより熱い意志に彩られたものとなり、読者としても手に汗を握り、かつ彼女を応援しながら読み進めることとなるのです。
そして訪れたクライマックスでは、全ての伏線と謎が回収されると同時に、胸の奥がキュッと締め付けられるような、切ないような思いに駆られます。
空を駆け、剣を振るい、銃を乱れ撃つ世界一かっこいいシングルマザーの話—―このキャッチコピーは、まさに物語の全てを表現しています。
ぜひ皆さん、ご一読ください。
シングルマザーを主人公にする小説、殊に戦闘場面を擁する小説は少ないと思われますが、本作はシングルマザーがゆえにのぞかせる美しさ、気高さ、悲しさ、そして母性が魅力を最大限に引き出しています!
なぜ、シングルマザーになったのか。
その経緯はとても悲しく、読者に共感を与えますが、読み進むに連れて、怒りと無情さを味わわせます。
その無情さの中で、レアメタルをスクラップから回収するハンターたちは、どう立ち向かっていくのか。
最後は、涙腺を刺激されること間違いなしです。
文章もとても読みやすく、長さをまるで感じさせないテンポで、気づけば一気呵成にエンディングまで突き進むでしょう!
これだけたくさんの★が付いていることは、納得です!
本当にヒューマンドラマとして素晴らしい作品で、小説の書き手にとって嫉妬すら感じるほどではないでしょうか!? オススメです!!
スクラップ・クリーチャーと呼ばれる、その名の通りスクラップから構成されるモンスターのようなものが出没する世界。それと戦うのは、奴らの中ある希少なレアメタルの回収を目的とした、レアメタルハンターと呼ばれる者達。
これだけでも、手に汗握るSFアクションの予感がしますが、本作最大の魅力は、主人公であるレアメタルハンター、シュカが、一児の母親であること。
シングルマザーである彼女は、スクラップ・クリーチャーとの激しい戦闘の後、愛する我が子イチを迎えに保育園へと向かいます。腕利きの戦士と母親。なかなかイメージの合いそうにないこの二つが見事に混ざり合った見事な設定。激しい戦闘をこなすほど、時に可愛く時にワガママにもなるイチに振り回されるほど、彼女の魅力も増していきます。
母親とレアメタルハンター。二足のわらじをはく彼女は、最高にカッコいいヒロインでありヒーローです(≧▽≦)