SCP財団職員の学校生活-J

中嶌 浩和

SCP-███-N‐J 『Achoo!』

「ところで餅屋くん。Jokeオブジェクトの事は知っているかい?」



あるSCP解説の日。SCP-███-JPの解説が終わった後、棚空先輩がいきなりJokeオブジェクトについて質問してきた。



「はい、まあ。正式には書けない、遊びが入っているSCPですよね?」

「そう、よくわかっているじゃないか。今日はちょっとそれを解説してみようか。拒否権はいつも通り無し。」

「はい、わかりましたけど…。Jokeオブジェクトって変なのばかりじゃないですか?」



そう、Jokeオブジェクトはその名の通り『冗談』として分類されているので、特別変なやつが多いのだ。今回解説するのもまた、変な奴なのだろう。しかし、そういうのものを先輩は気に留めない。



「まあ、普通にオブジェクトの奴もあるし。じゃあ…そうだね、君にはSCP-710-JP-J、通称『財団神拳』を伝授しよう!」

「…はい?え、『財団神拳』、ですか?」



一体どういうオブジェクトなのか見当もつかないし、名前も奇妙だ。何で神拳という名前なんだ?北███みたいのでも手に入るのだろうか。



「そう、『財団神拳』。オブジェクトクラスは『Achoo!』。このオブジェクト自体は、門外不出の巻物に書かれている神拳の奥義書なんだ。普段は金庫に入っているけど、A~Cクラスまではコピーが入手出来る。」

「…えっと、ツッコみどころが多すぎて…。まず、オブジェクトクラスがAchooってどういうことなんですか?それに、門外不出なのにコピー出来るって…?」

「…さあ?僕に聞かれても困る。それがJokeオブジェクトだし。」



そういうと、先輩は本当に困ったような顔で顔をしかめる。いきなり訳のわからないこと言われて、困りたいのは俺の方なんだが。何だよAchooって。



「まあ、わざわざ神拳というぐらいだから、技もそれなりにあるよ。大ざっぱにいうと、5~10個ぐらいはあるね。例えば、『共振パンチ』。 共振現象を自ら引き起こすことで、硬い物を破壊することが出来たり、『爆風キャンセリング』で、正拳突きとかで発生する衝撃波を発生させた爆風と合わせることで衝撃を相殺させたり――」

「いえ、もういいです。もう大丈夫です。意味が分からなくなって来ました。」

「えー?まだまだいっぱいあるのに。」



先輩がすごく不満そうな顔で俺を見る。そんなこと言われても、本当に何を言っているのかさっぱり分からない。そもそも、科学的にそんなこと可能なのか?



「餅屋くん?君は今、そんなこと科学的に可能かどうかを考えたね?」

「はい、そうですけど…何で分かったんですか?」

「それはね、昔はみんな君と同じように怪しがっていたんだよ。でも、科学的にも正しいと証明されているし、もはや疑えないんだ。」

「まあ…とりあえず、そのコピーとやらを後で見せてください。」

「いいよ。でも、君のレベルでも見れるから興味があるなら…というか、絶対見た方がいいよ。」



その後、コピーされた巻物にある弾丸を確率で予測して避ける『確率論的回避』やら、特殊な歩き方でトンネル効果とやらを発生させ、壁をすり抜けたり危険を回避できる『量子歩法』やら、よくわからないものを読まされたが、筋も通っていたので習得することが出来た。確かに使いやすいし、これは習得を勧められるのも納得だ。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

あとがき

どうも、Jokeオブジェクトは財団内でどういう定義なのか気になる、餅屋五平です。

なんとも定義し難い感じですよね。Jokeで済まされないのもありますし。



いや、嘘ですよ。Jokeで済まされるからこそのJokeオブジェクトなんです。まあ、それでも信じたいのなら、ください。信じるのは自由ですしね。



ところで、このJokeを書く際、友人に「何がいいかね?」聞いたら「SCP-██████-JPがいい!」としつこくいわれました。█夢に媚びるのは嫌なので、まだ書きません。当たり前だよなあ?




SCP-710-JP-J 「財団神拳」

by Kwana

http://ja.scp-wiki.net/scp-710-jp-j








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