お米には、人の想いが詰まってる。

 都会で働いていた主人公は、セクハラを受けながら働いていた。そんな中、母から父が倒れたと電話があり、故郷に帰ることに。主人公の家は米農家。主人公は会社を辞め、米作りに奔走する。知識も経験もない中、両親や幼馴染に教えてもらいながら、懸命に米を作る。
 ただ食べていたお米。毎日当たり前のように食べていたお米。それがこんなにも多くの人々が関り、人間関係を作り、時間と手間をかけて、苦労の末にできていた。これだけでも、お米の大切さ、主食の有難さが分かる。
 その上、この作品には田舎ならではのことが織り込まれていたり、恋愛や結婚など、お米作りを通して生活を見ていたり、人の営みも感じられる。また、主人公の成長物語でもあり、米農家に生まれながら何も知らないし、経験もないために、筋肉痛や日焼けに悩まされるなど、女性視点も忘れていない。
 改めて、「食べる」という日常が大切だと思える作品。
 
 是非、御一読下さい。