学校一の美少女が金の斧か銀の斧か聞くやつで生計を立てていたんだが?

作者 古川 奏

可愛さ、切なさ、熱さ、楽しさ、全部乗せ!

  • ★★★ Excellent!!!

物書きの人が数ある表現方法の中から小説を選んだ理由というのは、きっと大なり小なり言葉が好きだからなのだろうと思います。同じストーリーでも、文章の組み合わせや順番を工夫し、時には遊び心を加えることで、そのストーリーの魅力は増します。そしてそれは言葉が好きでなければできないことだと信じています。

僕は本作を読んで、こう思いました。
この作者、絶対、言葉が好きだろ。

本作は『金の斧と銀の斧』などの名で知られる童話を、現代が舞台のボーイミーツガールにアップデートしたものです。
主人公の束林蒼平くんは代々、木こり。ヒロインの小森瑞菜さんは代々、池の女神です。束林くんが池に斧を落としてしまった日からふたりは急接近し、校舎裏で秘密を共有する仲になります。でも小森さんは、ある悩みを抱えていて……というお話。
設定の時点でおかしみがありますが、それだけではありません。束林くんも小森さんも、どちらもおどおどしていて健気な少年少女なので、可愛いな~( ◜◡◝ )と思いながら読んでいけるのですが……そうしているうちにいつの間にかふたりの心の深いところに触れている自分に気づきます。小森さんの重大な苦悩。束林くんが出した答え。手に汗握る熱い展開と、愛、そして女神。それらを文章として紡ぐ、楽しげで強い、自由な言葉……。

作者さんが言葉が好きかどうかは直接聞いたわけじゃないのでわからないのですが、それでも、生き生きとした言葉選びの本作を読む中で、僕自身が言葉を更に好きになったことは確かです。あとおろおろしちゃう少年少女も好きになりました。可愛い。読んだら充実感があると思います。おすすめです。

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その他のおすすめレビュー

★★★ Excellent!!!

世襲制のきこりが森で出逢ったのは、世襲制の池の女神。ふたりはなぜか高校の同級生で……と、こう書くと青春ストーリーであり、ボーイミーツガールものであるように思えます。
確かにそういった側面は大いにあり… 続きを読む

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