Q.キャッチコピーの「天上の調べよりも最高にハイな詩、幻聴せてやっから」ですが、これどう読むと思いますか?
なお、作中では以下の言葉に()内のようなルビが振られているものとします。
恭しくも荘厳な足取り(ムーンウォーク)
黎明が空を染める(デイブレイク・フロンティア)
全裸中年男性(ネイキッド・ルナティッカー)
行き場を失って彷徨う紫と黒の煙(ロスト・ワンダーなデス・スモーク)
A.わかるか!!!!!!!!!!!
ちなみにこれは一部です。本編ではありったけのルビ芸の洪水。その上で読みづらすぎるなんてことはなく、むしろめちゃくちゃ面白い。イカレてやがるぜ、トゥルー・ガチで。
ルビ大暴れでハチャメチャすぎる第1話を読んで、戸惑いつつも何かを感じて第2話に進み、相変わらずルビだらけなのになんか癖になり始めて第3話に進み、4話、5話6話……あっ読み終わった……。という感じでした。夢心地だったけど充実感がありすぎて脳のどっかが破壊された感覚があります。読むドラッグ。笑えて、なぜか格好良い、trueなアングラ小説です。
スラム化した街から違法薬物を排除せんと、ただひとり奮闘する孤独なラッパー・アキハルの戦いの物語。
バトルもののサイバーパンクSFです。あるいはパルプ小説。というかもう読む狂気そのもの。要は文体そのものに独特の味わいのあるコメディ作品、と、そんな要約でいいのでしょうか……どうとも説明の難しいお話。もう本文読んだ方が早いので読めばいいと思います。
何がすごいってもう、勢いというかノリというか、全編にわたって異常です。本当に異常。
正気に戻る瞬間みたいなのがない。完全にトンチキだけでできたお話……かと思いきや、でもストーリーの構造そのものは結構普通にバトルものしてたりと、絶妙なバランスで成り立っているのが侮れません。ここまでめちゃくちゃなのに物語として成立していることの凄味。一周回って突き抜けた先で釣り合う感じ。
その存外にまともな部分、主人公の抱えた将来の展望みたいな部分が好き。
薬物を駆逐した街で、ミュージシャンとしてやっていくこと。確かに、お客となるべき人が全員酩酊状態では、永遠に叶えようのない夢。それゆえの戦い、というのがなんだ格好よく、でも読んでいる最中は正直「そんなことはどうでもいい」と思えてしまうくらいにはトンチキな、なんかもうものすごいお話でした。すごい。凄味しかない。みんな逃げて!