ひとりの男が喫茶店で手紙を書こうとしていると、元気いっぱいな女子高生ふたりが厄介な絡み方をしてきて、「手伝いますよ」なんて言いながら言いたい放題やりたい放題で男を振り回していくコメディです。
ボクっ娘とエセ関西弁娘のふたりは夏休み中ならではの全能感からなのか、男の書こうとする手紙の用件を勝手に決めつけたり、宛先が誰なのか勝手に予想し始めたり、突然踊り出したり(!?)、とにかくハチャメチャ。その振舞いがとにかく楽しくて、笑ってしまいます。
ですがそれだけでは終わりません。話が思わぬ方向へシフトしたかと思えば、「なんだこれ!?」と言いたくなるような謎の展開が始まり……そして明かされる男の真実。ただ手紙を書くだけなのに、そこに至るまでの過程や、執筆のシーンには外連味があり、飽きさせません。
本作の魅力は、外連味を活かしている……つまり「奇抜で面白みがある」ところだと思います。
どのように面白みがあるのか。
男の目的はいったい何なのか。
ハチャメチャに振舞う女子高生の真意とは!?(いや、あの子たちはホントに何も考えてないと思う)
ぜひ読んで確かめてみてください。楽しい世界が待っています。
喫茶店の中で進む7,000字の短編。
ある男が読者から見たら誰だかわからない相手に宛てる手紙に悩んでいるが、それを若い女性二人が手伝い(あるいは邪魔?)するという内容。
はっちゃけた若い二人の女学生のキャラが鮮烈で笑えつつ、短い中でキャラ付けや伏線がしっかりしていて、読んでいるときは読む側の感情がぐるぐる回ります。
暑い夏、小さな喫茶店とロケーションが良い中で、なぜか唐突に始まるラップバトル。どこかノスタルジックな雰囲気とナウいヤングな雰囲気が絶妙にマッチしており、読後感はさながら縁日で飲む清流で冷やしたラムネのようにさわやか。
手紙で韻に頼るって最後の手段でしょは意味不明すぎて笑えました。
でもまぁいいのか、夏休みだし。
短時間ですっきり読めるので、移動中に電車の中とかで読んで、残りの夏に憧憬を抱くのもいいと思います。