錆びた毒の味





久しぶりに飲んだ

毒の味は

埋め立てたはずの感情を

鮮明に目覚めさせる



ざらりとした質感

棘の絨毯に寝転ぶ感触

溢れ出す感情のどろりとした黒さ


久しぶりに飲んだ毒の味は

あの頃よりも錆びた味がする

そんな気がした



心地良いはずの秋夜の空気が

錆の質量を孕んで澱んでいく




目を閉じて

心を閉じれば

夜の向こうへ行けるだろうか


簡単に溜まってしまう泥を

全て吐き出して

綺麗な水で満たすには

どうすればいいのだろう


優しさには程遠く





逃げるように

夜を思いっきり吸い込んで

深呼吸をする



舌を這い心を巣食うのはやはり

錆びた毒の味













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握り締めたナイフ 雨音 @ayuction

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