空の色。波が岩に打ちつける音。思い出の中の花の匂い。季節特有の空気の温さや重たさ。海水に濡れた服の感触。自分の身で体験しているかのような思いがします。海と山の境、小さな集落で培われた、土地の風習への畏れと、人間の所業の恐ろしさ、そんな中にも、ただ薄気味悪さ・後味悪さとは違った、人の温かみのようなものも感じられて。とてもとても怖いのに、読んでよかった、そんな気持ちになりました。
人生迷走中
北海道の小さな架空の集落を舞台とし、その集落の風習をテーマとした作品。閉ざされた寒村で、たぶん今でも、忘れられた者達は何食わぬ顔でそこにいて、そして忘れたりはしない。足元ががらりと崩れるよう…続きを読む
北海道出身者です。ついつい衛星写真と見比べながら読んでしまいましたが、是非皆様にもこの物語の舞台に該当しそうな一帯の、寂しげな集落の佇まいを見てほしい……「スノトレ」「サビオ」「わや」といった北海…続きを読む
寒く寂しい土地を歩いていて足元の霜の美しさに少し頬を緩めながらも、その下に死体が埋まっていると気付いてしまうような、そんな気持ちになりました。生々しい怖さから氷一枚隔てたところで感じる寂しさと悲し…続きを読む
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