忘谷拾遺

作者 鍋島小骨

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★★★ Excellent!!!

北海道出身者です。ついつい衛星写真と見比べながら読んでしまいましたが、是非皆様にもこの物語の舞台に該当しそうな一帯の、寂しげな集落の佇まいを見てほしい……
「スノトレ」「サビオ」「わや」といった北海道ワードは遊び心にとどまらず、ちょっとした異界感を演出してくれています。
帰省するたびに少しずつ人が減っているような気がしてしまう、最近若干試されすぎているきらいのある大地・北海道という土地にこの上なくマッチするテーマで、胸が締め付けられるような気持ちになりました。
銭函や函館といったハコに関する地名の由来を調べてみたら、さらになるほどと思えるかも知れません。

★★★ Excellent!!!

寒く寂しい土地を歩いていて足元の霜の美しさに少し頬を緩めながらも、その下に死体が埋まっていると気付いてしまうような、そんな気持ちになりました。
生々しい怖さから氷一枚隔てたところで感じる寂しさと悲しさと、それから少しの暖かさと。これを自分が読むことで、語り手の彼が少しでも報われればと願います。

★★★ Excellent!!!

空の色。波が岩に打ちつける音。思い出の中の花の匂い。
季節特有の空気の温さや重たさ。海水に濡れた服の感触。
自分の身で体験しているかのような思いがします。
海と山の境、小さな集落で培われた、土地の風習への畏れと、人間の所業の恐ろしさ、そんな中にも、ただ薄気味悪さ・後味悪さとは違った、人の温かみのようなものも感じられて。
とてもとても怖いのに、読んでよかった、そんな気持ちになりました。