高い評価を得ている『木徳直人はミズチを殺す』の作者さんが送る、高い筆致で書かれたバトルアクションストーリーでした。
『ヒーローもの』と言われてイメージするような、爆音を響かせながら変身して銃と剣が一体になった武器(玩具化したら売れそう)で戦って街を脅かす怪人達をなぎ倒していく……といったものではなく、そういう作品よりかは大人向けです。複雑に絡み合う思惑や設定などが、見事に最後まで『面白さ』を発揮する要素として描かれています。
主人公ナオヤとヒロイントワカの心情、バトルシーンなどが詳細かつテンポよく描写されており、特に後半からは夢中になって読み進めてしまうほどのパワーを持つ作品でした。
面白かったです!
本作は心身の不調により、落ち込みがちだった主人公が、とある出会いをきっかけに変化していく物語です。
『ヒーロー』とはなんなのか、それを考えさせられつつ、なかなかにリアリティある重厚なストーリーと共に引き込まれます。
作品通して、キャラの心象描写がとてもわかりやすく表現されており、各キャラの目的や行動、心情などが明確に示されているので内容がとてもわかり易くなっています。
熱意と共に人生の底から這い上がってくる感じは、手に汗握る展開の数々に心揺さぶられる感じでしたね。
恋愛要素、アクションシーンも必見です。
皆さん是非御一読ください!
最初は「木徳直人はミズチを殺す」とは違う作風かと思いきや、物語が進むにつれて、段々しに不穏な気配が立ちこめてくるこの感じは、前作に通じるものがある。
主人公が生活保護を申請して無職というところからはじまるので、そこから這い上がるカタルシスを感じさせる物語と思いきや、良い意味で期待を裏切る展開が続く。
直也のヒーロー観と、この世界の裏側の秘密がどう繋がっていくのか?
ビッグ・セックとは何者か? ヘラクレスとは本来なんなのか? 様々な謎がある中で、作中の伏線がどう絡み合っていくのか、先の展開が読めない。
また、ビッグ・セックは、その魅惑さと彼女の持つ秘密がエロティックを演出している一方で、その不気味な特性から不安感も覚える、非常に魅力的なキャラクターとして映る。
直也と兎羽歌ちゃんの関係性はこれから良い意味で発展していって欲しいが、前作や本作の流れを考えると、そうそううまくはいかない気もする。
前作でも感じたが、やはり本作でも戦闘シーンは臨場感がある。
一文一文が短いのでスピーディに読めるが、作中の時間は何故か引き延ばされたように感じられて、一瞬一瞬の緊張感が見事に演出されている。
そこに、作品の設定が新たな展開を見せることで、その面白さをより一層引き立てている。
この先、どのように謎が明らかにされ、キャラクターたちがどのような結末を迎えるのか、楽しみな作品である。
最新作まで読み終えた感想として。
日本のヒーローモノと言えば、スーパー戦隊モノがまず初めに頭をよぎりますが、こちらは、どちらかというと、欧米のアメコミヒーローモノに近い印象を持ちました。従順で素直な性格のトワカ、トワカを見て昔ながらあった自身のヒーローへの憧れを実現させた直也。
一見すると、自警団のように勝手に二人がヒーロー活動を手を組んで真面目に取り組む姿は、もし一般の、一ノ瀬のようなものが見たら、滑稽にうつるし、バカにもするでしょう。ただ、
ただ、自分は、こうやって何か志を持って自分の信じた道をいき、大真面目にヒーロー活動をする彼らを笑いはしません。
だれもがバカにしてたモノから始めて、それが大きなうねりとなって、本流となっていく事例、それこそフィクションでもいい。いくつも見てきましたから。だから、彼らを笑うものは自分は絶対に許しません。
勇気の出る、そして、幼き頃の夢を叶える、すばらしきヒーロウ作品をありがとうございました!