ヒーローとは何か

ヒーローとは何か、正義とは何か、誰しも一度は考えたことのあるテーマ、それを最大限に活かしていると感じた。

この作品にはヒーローという存在が居ない、しかし主人公はヒーローを志す。

ある日、スーパーの裏で不良をのしている大男を見た時から、彼の人生は大きな変革を迎える。

うつになり、生活保護を受けて何となく生きていた彼の心に、炎が宿る。

「ヒーローになりたい」という漠然とした思いを抱きながら、体を鍛え、就職した頃、大男と遭遇し、対峙。

しかし大男の正体はまさかの──!?

と言った具合で始まる本作、世界観が独特で、描写やセリフ回りなどもかなり癖があると感じる反面、読み進める度に心が踊り、ページをめくる指が軽くなっていくのを感じていました。

超常的な力を持つキャラクターたちに対し、主人公はあまりにも無力で、一般人で、ただヒーローになりたいと思うだけの男。

超常達が体を貫かれてもヘラヘラしている中、彼は貫かれたら生命が危うい。

しかし彼は戦いに身を投じる、ヒーローになりたいから。助けたいから、力になりたいから。
それが思い描くヒーローだと信じて。

あまりにもフィクションであまりにもリアルな本作、昨今人気になっている少年漫画とは一線を画すこの作品を、皆様もお手に取って頂きたい。

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