いつか、どこかで

未来は決まっているか？
YesともいえるしNoともいえる。

未来から見たら過去は決定事項だ。
だが、過去から見れば現在は決定していない。
同じように現在では未来が決定していないのだ。

「なるようにしかならない」という言葉がある、そうなのかもしれない。
ただし、それは過ぎ去った過去を振り返った時の話だ。

未来にはいくらでも選択肢がある。
その中のどれを取るかは自分次第。それによってどうにでも変化する。
今、何かを諦めたり、投げやりになっている人は、この物語を開こう。
そして今の自分にできることを考えよう。
考えたら、それを全力でやってみよう。
それによって未来は変わるのだから。

パラレルワールド、タイムリープのSF作品。

そこに確実にあるタイムパラドックス。
これに立ち向かうのが本作の主人公＝ユーイチ。

彼は、一瞬のやり取りの間にいくつもの選択肢を自らの手で提示し、選びます。
その選択が正しいのか間違いなのか。
それは最後にわかるわけですが……。

私はこの作品を読んだときに問われた気がしました。
いくつもある未来への選択肢。それを今、選んでいるか？　と。
未来のことは未来になってみないとわからない？
違う。
今の連続の先にあるのが未来だ。
このように、訴えかけられているように思いました。

切なさ、温かさでいっぱいの物語です。
突然現れた女の子、椿と僕の会話を通じて、二人の心が同時に動いていくのが美しく描かれています。