父親と娘が喧嘩するところから始まって、娘が部屋に閉じこもってしまいます。しかし、父親は外出をしなくてはならなかったので、娘にしっかり向き合うことなく、家から出て行ってしまうのです。娘が父親に対して思っている感情や、この2人の背景などから、この親子に感情を動かされる人も多いと思います。
小説のつくりとしては前半部分と後半が対のような構成になっており、前半で分からなかったことが後半で分かるようになっているのですが、前半を読んでいる時点でなんだか違和感があり、それに少しずつ少しずつ恐怖が煽られるようになっています。
その違和感などはご自身の目で確かめてもらいたいと思います。面白くて、怖い物語になっているので是非読んでみてください。
お祭りの日、約束を破った父と喧嘩して自室に閉じこもったあかり。
のちほど家に忘れ物を取りに帰ってきた様子の父からドア越しに声をかけられるも、腹の虫が収まらないあかりはそれを無視してしまいます。
去っていった父を確認して自室に鍵をかけまた引きこもったあかりでしたが、ほどなくしてまた父が家に戻ってきた模様。
…しかし、なんだかその様子がおかしい…?
読み終わってすぐに自宅の鍵の確認をしたくなりましたし、家の外の夏の空気が寧ろそら寒く感じました…
現実に起こりうる怖さ、そしてすれ違いの悲しさ。
お祭りの賑やかで楽しげで華やかな描写が光れば光るほど、じんわりとした陰を残します。
父親に反抗する娘が、前半の主人公だ。家には父親と主人公が二人だけで住んでいた。夏祭りの夜に、約束を破った父に対して主人公は反抗し、自室に籠る。自室に鍵をかけて、父が何かを探す音だけを聞いていた。父は祭りの運営にも携わっていた。主人公にとっては、自分より他人に押し付けられた役割をこなそうとしている父が、さらに苛立たせる要因だった。
探し物をしていた父が、二階に上がってくる。そして、主人公の部屋の前にやってきた。今度は声もかけなかった。その代わり、主人公の部屋のドアノブを、暴力的にガチャガチャと回そうとしている。しばらくしてその音は止んだ。
主人公は父に反抗するよりも、話し合おうと鍵を開ける。
しかし、そこには影が――。
後半は父親の視点で語られるが、最後には恐ろしい現実が待っている。
あなたは、鍵をちゃんとかけましたか? 本当に?
―—確認、しておいたほうがいいですよ。
是非、御一読ください。