作者 水縹 こはる

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★★★ Excellent!!!

父親と娘が喧嘩するところから始まって、娘が部屋に閉じこもってしまいます。しかし、父親は外出をしなくてはならなかったので、娘にしっかり向き合うことなく、家から出て行ってしまうのです。娘が父親に対して思っている感情や、この2人の背景などから、この親子に感情を動かされる人も多いと思います。

小説のつくりとしては前半部分と後半が対のような構成になっており、前半で分からなかったことが後半で分かるようになっているのですが、前半を読んでいる時点でなんだか違和感があり、それに少しずつ少しずつ恐怖が煽られるようになっています。

その違和感などはご自身の目で確かめてもらいたいと思います。面白くて、怖い物語になっているので是非読んでみてください。

★★★ Excellent!!!

お祭りの日、約束を破った父と喧嘩して自室に閉じこもったあかり。
のちほど家に忘れ物を取りに帰ってきた様子の父からドア越しに声をかけられるも、腹の虫が収まらないあかりはそれを無視してしまいます。
去っていった父を確認して自室に鍵をかけまた引きこもったあかりでしたが、ほどなくしてまた父が家に戻ってきた模様。
…しかし、なんだかその様子がおかしい…?

読み終わってすぐに自宅の鍵の確認をしたくなりましたし、家の外の夏の空気が寧ろそら寒く感じました…
現実に起こりうる怖さ、そしてすれ違いの悲しさ。
お祭りの賑やかで楽しげで華やかな描写が光れば光るほど、じんわりとした陰を残します。

★★★ Excellent!!!

 父親に反抗する娘が、前半の主人公だ。家には父親と主人公が二人だけで住んでいた。夏祭りの夜に、約束を破った父に対して主人公は反抗し、自室に籠る。自室に鍵をかけて、父が何かを探す音だけを聞いていた。父は祭りの運営にも携わっていた。主人公にとっては、自分より他人に押し付けられた役割をこなそうとしている父が、さらに苛立たせる要因だった。
 探し物をしていた父が、二階に上がってくる。そして、主人公の部屋の前にやってきた。今度は声もかけなかった。その代わり、主人公の部屋のドアノブを、暴力的にガチャガチャと回そうとしている。しばらくしてその音は止んだ。
 主人公は父に反抗するよりも、話し合おうと鍵を開ける。
 しかし、そこには影が――。
 後半は父親の視点で語られるが、最後には恐ろしい現実が待っている。
 
 あなたは、鍵をちゃんとかけましたか? 本当に?
 ―—確認、しておいたほうがいいですよ。

 是非、御一読ください。

★★★ Excellent!!!

家族の不和や衝突、些細な行き違い、そして後悔。作者はこれら1つ1つを蔑ろにせず、に丁寧に描写することで、作品の中の登場人物に、絵空ごとでない命を与えることに成功しています。命がそこにあり輝きを増す。それは同時に深い闇や死もそこに存在する。それを描くことが出来る証明でもあります。非凡な才能を持った作家さんの登場だと、僕はこの作品を読んで感じました。ぜひ皆さんも御一読を!おすすめです!

★★★ Excellent!!!

不器用な父親と一人娘の間に起きた悲しいすれ違いの記録です。
あー、私はこの父親が何を考えてこうなったのか判る。判ってしまうんですよね。
世の中に役立つ人間でありたい、家族が誇れる立派な自分でありたい。
だからつい見得をはって「度を越えた良い人」であろうとする。
しかし悲しいかな「善人」は決して褒め言葉ではないのです。その器でなければ特に。

救いはありませんが「次なんてないんだよ」と教訓を与えてくれるお話。
バッドエンドのお話も世の中には必要なのです。
なぜってそれは、リアル寄りって事なのですから!

★★★ Excellent!!!

優しいけれどふがいない父。甘えたいけれど拗ねてしまった娘。
現実にあってもおかしくない嫌なリアルさを含んだ家族の雰囲気が、読んでいるだけで伝わってくるようだ。
そこに、いやに明るく単調な祭囃子と太鼓の音などの祭りの情景が、じわじわと染み込むように組み合わさっていく。
家の中の冷そうな空気と、家の外の温かそうな空気がミスマッチを生み、想像するだけで読み手にちぐはぐな印象を与える。
それが、最終的におかしなことが起こるのではないか、という嫌な予感を自然と想起させてくれる。
擬音や視点の変化もうまく活用されていて、「これはすごい」と唸らされた。

短いながらも、超常的な存在を含まずにホラーを成立させている傑作。

★★ Very Good!!

正体不明って、怖いですよね。
相手がどんなヤツなのかわならない、つまり自分の物差しで全く計れない時って、人間は恐怖するんだと思うのですよ。
さて、あんまり詳細に書くとネタバレになりますし、それは不粋というもの。
まずはこの作品を読んで、そして体験してみて下さい。
高いリーダビリティに、するすると読んでしまうこと請け合いです。そしてそれに釣られてするすると読んでしまったら……。

是非ともこの「恐怖体験」を、ご賞味あれ!