言葉など不要


この作品を語るのに言葉なんかいりません。こんなレビューなんか読む前に、さっさと1話を読んでみてください。と言いたいところなのですが、それだとレビューが成り立ちません。なんてこった。

まず読みやすいです。こういうところが、と示すのが難しいくらい、色んな要素が噛み合って「読みやすい文章」に出来上がっているような印象があります。それは難解な言葉があまり使われていないことであったり、一人称視点で進んでいく構成であったり、二人だけの関係を最初から最後まで描き続けるという分かりやすい作風であったり。
あと、些細な一文がとても心に残るんですよね。句読点まで読んでから「えっ、今の表現いいなぁ」と思って少し前から読み直したり「これをこう表現するのね……」と唸ってしまうような点が幾つもあったりと、とても勉強になります。あと二人の台詞の言葉選びも好きです。
それから、関係の描き方がとても巧みなんです。一見関係のなさそうに見える景色の一部を関係を描く要素として使っていて、あぁ、巧いなぁ……と思わされます。それに引き換え、このレビューの語彙はヒドいものですね。笑ってください。

殺伐百合に興味がある方への入り口に、あらゆる点でぴったりの作品だと思います。
もし殺伐百合の教科書があったなら、この作品は間違いなく載るでしょう。

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