心優しい先生と教え子たちの、ほっこりする日常(?)譚

 タイトルに日常譚なんて書いてしまいましたが、実際どうなんでしょうか。違うような気がしてなりません。

 それはさておき、この物語の解説をば。

 この物語は、主人公であるラルシュが、大成した元教え子たちに振り回され、周囲はそれを見てラルシュを『大賢者』と呼び、結果何もしていないにもかかわらず大変なことになってしまうという、いわば勘違いコメディ。

 この時点でタイトル詐欺なレビューですねごめんなさい。

 それはさておき。

 主人公であるラルシュは、純粋という言葉が親切という言葉で作った服を着て歩いているような人。誰にでも優しく接し、相手を貶すようなことは天地がひっくり返っても在り得ません。

 そんなラルシュに、元教え子たちは強い敬愛の念を抱いており、皇太子や聖女、騎士団長といった立場を利用してラルシュを助けるのですが……これがまた微妙にかみ合ってなくて面白い。

 ラルシュは自宅でのんびりと過ごすことを望んでいるわけですが、元教え子たちはそれはもう凄まじいまでにラルシュを持ち上げて、ある事ない事、いや、ない事ない事言われてしまいます。『大賢者』とか『大賢者』とか『大賢者』とか。

そんな元教え子たちとのほっこりするやりとり、読んでいて和みます。本当に。

 そして誰に対しても優しく接するラルシュの言動が、とにかく心温まります。たとえ他の人たちが悪く言っている人も、ラルシュは自身の目を持ってその人の事を判断し、どこまでも相手の事を気遣って接します。

 その結果彼に関わった人物はほぼ例外なく彼を慕うようになるわけで。作中では『人たらし』なんて呼ばれてます。多分私もそうなってしまうでしょうね。

 最後に、最近はストレスの溜まりやすい世間様ですが、イライラしたときはこの小説を読んで、ラルシュに癒されるのが良いかもしれません。心温まるひと時を、この小説は提供してくれますから。

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