吸血鬼の久藤せんぱい。

作者 緑茶

45

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Good!

 映画版『インタビュー・ウイズ・ヴァンパイア(アン・ライス原作、ニール・ジョーダン監督、ゲフィン・ピクチャーズ製作、敬称略)』で語られた通り、人間と吸血鬼の間には紛れもなく葛藤が生まれる。ある意味吸血鬼文学の重要な題材そのものだろう。
 本作の久藤氏は、上述の映画でいうならルイの理性とレスタトの感性を併せ持ったタイプだと思う。
 永劫が退廃になるのか開明になるのかは分からないが、二人には是非次なる吸血鬼文学を造り上げて欲しい。

★★★ Excellent!!!

人間の少女と吸血鬼の久藤せんぱいが織りなす日々。
久藤せんぱいの思惑は中盤まで掴み切れないのですが、少女側の思慕は明白で、その純粋さやまっすぐさにほっこりとします。心が潤う…。
せんぱいは何を思って彼女と一緒に居るのだろう。ある決定的な場面、そしてラストに至るまで読者である私も、あれこれ想像しながら読み進めていました。
せんぱいが予定調和を嫌い、予想外な事を求め続けるのも、単に悠久の時を生きるのに退屈していたばかりではなく、その退屈の先の色をまざまざと知ってしまったからだと個人的には解釈しました。(この解釈も読み手によって様々に想像が膨らみそうで、灰色とは一体どんなものなのだろうと今一度思いを馳せるのも楽しい時間でした)
諸々の難しい事は抜きにして、女学生として生活する二人があちこち一緒に出掛けたり、お互いを思いやる姿はそれだけでもう、いいなあ…と心の底から思う次第。せんぱいの指先から出るエロ光線に私もまんまとやられてしまったのでしょう、違いありません。途中で人物の視点が入れ替わったりもしますがその転換もわかりやすく、語り手の言葉を追う形で物語は読みやすく進みます。

★★★ Excellent!!!

 吸血鬼の『始祖』として、永遠の時を生きる吸血鬼と、どこか抜けた所がある事以外は何の変哲もない人間の少女の、甘酸っぱい物語。
 登場人物の感情が、情景も相まって妙に生々しく伝わってくる。ここまでのめり込める作品は久々に出会ったと思う。
 事実上の不老不死であるが故に苦悩する吸血鬼の姿も、吸血鬼な先輩を好いていながらも疎外感を感じて不安を抱える少女の姿も、リアルな泥臭さがあって美しかった。
 この作品は短編(と言っても一万文字以上あり、読みごたえはかなりある)なので、今後の話が書かれる事はないが、もしできる事なら読んでみたい。