その灯りで焦げ付いた影に呑まれてから、ずっと殴打され続けていた心が叫ぶ

ひたすらに苦しく、惨めで、行き場も救いもない初恋のお話です。
選び抜かれた言葉で綴られる色彩豊かな美しい描写が、逃れようもないほど鮮明に、彼女と共にあった時間の記憶を映し出しています。

大切な思い出の場所であり、同時に二度と訪れたくない場所でもあった『灯台』が、この物語を貫くテーマの鮮烈なメタファーになっています。

強い光の袂には、濃い影が落ちる。
それでも、その灯りが示す先にあるものに、惹かれずにはいられない。

最初から最後まで、激しく心を揺さぶられる作品でした。
読了した今、しばらく放心状態です。

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