第14話 外国人の小娘にも足元を見られ

小売業では大手のスーパーチェーン以外はパートやバイトの採用に苦慮している。

大きな原因は時間給が安いからだ。

最低賃金しか払わない企業がほとんどで、土日祝日や夜間に割増料金を払う企業はまだ良心的。

時間給が働く者にとって満足いく金額なら土日祝日でも夜間でも働くだろう。昔は学生バイトが主流であったが、小売業は敬遠されているようで、よほど行き場のない学生だけが渋々と他のバイトが見つかるまで腰掛け的に働くくらいだ。

そんな小売業のバイトで戦力になっているのが外国人。

留学生がほとんどだが、怪しい学校に留学生した前提で滞在している人もいる。中国人ならインバウンドでの中国人客の通訳も兼ねられるので採用するお店も多い。しかし、やはり最低賃金なら中国人すらこない。ベトナム人やモンゴル人など英語も中国語も話せなくて片言の日本語の留学生も面接にくる。日本語学校に通ってるようだが、日本人も中国人も誰もバイトの求人を埋められないから、お店として仕方なしに採用せざるを得ないのが現状だ。

そういう外国人をバイトに雇い、ようやく店の勤務シフトが埋められたと思った矢先に、「ほかにいい条件の所があったので、バイトには行きません」とモンゴル人の女学生から採用キャンセルの連絡が。

きっとうちのお店よりも時間給が高い仕事があったんだ。

最低賃金だから、少しでも他の仕事先が高いと流れてしまう。

全く、外国人にすら足元を見られている。

そういう企業の経営陣は、最低賃金で当たり前、人なんて必要な時だけ使って後はぼろ雑巾のように捨てればいいという感覚。

バイトやパートなんて所詮道具という感覚である。

お店を任されている店長には時間給を上げたり、調整する権限はない。

いつまでたっても人手不足。

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お店の話2(超!暗黒時代) 三十六太郎 @36tarokaku

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