十二 明ケル夜(終)

「――ったく、警察から連絡が来るまで大人しくしてろって親父さんに散々釘刺されてたよな?」

「……ごめんなさい」

「まぁ鷲子が見つかって、お前も無事に帰ってきたから良いけどよ……」

四鏡村の一件から三日後、姉さんは四鏡村跡地付近の川辺で警察に保護された。

多少衰弱はしてたものの命に別状はなく、来週には退院できるらしい。

俺たちが四鏡村の異変を解決したことと姉さんが見つかったことに因果関係は無いと思うが、ともかく無事で良かった。

――その代わり、と言うには変な話だが友達と遊びに行くと嘘を吐いて勝手に姉さんを探しに行っていたことが従兄の由鶴兄さんにバレてしまった。

こっぴどく叱られはしたものの、父さんと母さんには黙っておくと言ってくれたのが幸いだ。

その対価として四鏡村で何があったのか洗いざらい話す羽目にはなったが。

「因習に基づく儀式の失敗で滅んだ村、か。ベタだが受けの良い記事にはなりそうだな」

「記事を書くのは由鶴兄さんじゃなくて日森さんでしょ……」

「細けぇことは良いんだよ」

「……ところで由鶴兄さん、この間の取材はどこに行ったんだっけ」

「ん?この間って言うと……あー、あれか……」

どこかばつが悪そうに由鶴兄さんは頭を掻く。

余程面倒なことが起きたのだろうか。

「……鷹也お前、夜咫神社やたじんじゃって覚えてるか?」

「夜咫神社?確かあそこって夏祭りの――」

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鏡怪談 壱:鏡送りノ話 等星シリス @nadohosi

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