5. 年下の先輩。死亡確認ヨーシ、ご冥福に!


 ――えーとLALAエル・エー・エル・エー……





 ――あ、駄目です! LALAなんとかもパスワード違うって怒られました!




 ――なるほど、失礼します!








 ……わり、駄目だ。無理。

 そのプレス止まんねンだわ。




 ねー、先輩の言うことは聞けって言ったのに大卒がよお。

 本当なら手だけで済んだのに、そんなにはしゃぐもんだから。




 「なんで初日なのに大卒って知ってるんですか」って顔だな。

 社員全員お前の履歴書見てっから。アットホームなんで弊社へっしゃ




 ん?

 「私どうなるんですか」って……まあ死ぬけど。














 うるさいうるさい、泣くな。逃げたんじゃねーよ。


 これだ……こ、れ!




 よし。

 これを可動部に噛ませたから少しは時間を稼げる。

 ……ったく、自動化だのパスワードだのちょけたことやってるからこんなことになんだよ。




 違う!

 お前のことじゃないよ。お前のミスだけじゃない、だから泣くな。

 あとこっちだけ見てろ。右見たら気絶するぞ。




 多分今気を失うと……死ぬんじゃないかな出血量的に。




 あーもう! だから騒ぐなって!

 泣くんじゃないよ大卒のくせに!




 落ち着け!

 怯えてもがくともっと体が巻き込まれる。そしたらいつまでも機械から出れないし、もっと……すごいことになる。

 そういう仕組みの機械だから。




 マニュアル? ないよ。

 一応先輩らにも連絡は行ってるろうけど、離れてるから。



 ……ここと……あそこ、を壊せばこじ開けられる、はずだ。

 本当ならこんなことありえない。安全装置があるからな、でも動かないんだ。

 だから壊すしかない。こっちまでクビになるかもしれねーけど。

 



 ん?




 いいよこっちの心配なんて……おっと!






 わりいわりい、すごい音したな。

 問題はこっちだ。これは……今ある道具と腕力だと正直……。




 いや、気にすんな。

 壊したら、引きずり出して、止血して……病院が近いのが弊社唯一の福利厚生なんだよ、だから安心しろ。




 固い!

 でも、動いた!




 まあさ! そんなんなってもさ! あれだろ、障害年金とかナマポとかでウハウハだろ!? こんなとこで働くよりよっぽどいい暮らしできるよ。





 後、少し……!

 んん……?






 ああ。

 新人さん、前はSWソーシャルワーカーだっけ。

 そりゃそうだよな、嘘は通じないか……。






 ……くそ。

 止まらない、間違えた。

 間違えた!




 黙れ、体力を消耗するぞ!

 まだ諦めるな!




 お子さん、まだ二歳でしたよね?

 ご家族の為にも踏ん張って。

 素人より詳しいんだし、それでも生きてる方がマシでしょ。





 緩んだところがあるんだ、そこから開ける!





 くそっ。

 駄目だ。





 気をしっかり保て、諦めるなよ!

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