人情味と美味しさにあふれる、昭和テイストな商店街ストーリー

買い物はもっぱら大型ショッピングモール、隣近所の住人とは挨拶を交わす程度の距離感……。
そんな現代のライフスタイルは便利ではありますが、たまにはお節介なくらいの人の温かさに触れてみたり、お店の人と気安い会話を交わしながら買い物に歩き回る、そんな昭和的な温かさに触れてみるのもいいですよね。

本作は、ナゴヤのとある商店街で焼き鳥店を切り盛りするアラサーの青年、彦一が主人公の人情ドラマ。
商店街で店を構える仲間の面々は個性の強い(という言葉では片付けられない)人々もいますが、皆が気さくで良い人たちばかりです。
彦一は生母と継母二人を相次いで亡くし、年の離れた妹二人の母親代わりとなって奮闘していますが、家族の絆はとても強く、お互いが思いあって生活している姿も微笑ましい。
そんなほっこりした舞台で繰り広げられる、ちょっとしたドラマが連作短編の形式で綴られているわけですが、全篇を通して気になるのは、やはり彦一と幼馴染みのみどりとのもどかしい恋の行方でしょう。

作中には、「焼き鳥屋まいど」のこだわりの料理の数々だけでなく、綾辻家の食卓や、はては驚きのフランス料理(?)まで、食欲をそそるお料理も沢山登場します。
カウンターで美味しいお酒を飲みつつ焼き場を眺めるような感覚で、美味しく温かくどこか懐かしい物語をお楽しみください♪

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